先日、「生協は共産党系の団体なの?利用者の立場で考えてみた」という記事を書いたところ、「おいしっくす 共産党」でGoogle検索した人も目にしているようなのです。(Googleの分析ツールでわかります)
おいしっくすのどこが共産党系に見えるのか全然わかりません(笑)ガチガチの資本主義に見えますけどね、、、。しかし、不安に思う方がいるようなので、今回は、おいしっくすと共産党に関係があるかについて考えてみました。
創業者の経歴が全然共産党に見えない
おいしっくすの代表取締役社長は髙島 宏平さんというのですが、公式サイトによる経歴はこのようになっています。東大卒、マッキンゼー勤務、東証マザーズ上場、これだけ見ても、基本的には「お金大好き、稼ぎたい」的な思考の方に見えます。(全然悪い意味ではないです、むしろすごいと思います)
1973年神奈川県生まれ。東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻修了後、マッキンゼー日本支社勤務を経て、2000年6月に「一般のご家庭での豊かな食生活の実現」を企業理念とするオイシックス株式会社を設立、同社代表取締役社長に就任。2013年3月に東証マザーズに上場。
「いい大学に入って稼ぐ」経歴
マッキンゼーは、年収が高い企業の代表格で、平均年収が1000万円を超えているそうです。業種的には「コンサル」というもので、いろんな企業のお悩みを解決して生産性を上げるお仕事です。
食品企業やIT企業などの様々な企業にアドバイスしたりしなければならないのですが、業界ルールを踏まえた上でさらに素晴らしい提案をしないと評価につながらないので、難しいお仕事になります。そのため働いている人は高学歴が多く、高収入です。
外から見える経歴だけですが、「いい大学に入って、お金が稼げる仕事に就く」という人生を送ってきた方なので、「年収が高い人から税金で取り上げて年収の低い人に再分配する」という共産主義的思考を持っているようには見えません。
ごくたまに、「才能のある自分がガシガシ稼ぐからどうぞ年収の低い人に分け与えてください!」みたいな思考の方もいるのですが、割合的には少なくなりますよね。
マザーズ上場
また、おいしっくすを立ち上げた後マザーズに上場していることからも、利益を得るということを重視してそうな印象になります。
上場というのは、会社の株式を一般の方が購入できるようにすることです。株式には会社の方針を決める権利が伴うので、上場すると、創業者の一存で会社を経営できる形から、株主の意向を考えなければいけない形に変わります。アパホテルなどがそうですが、自由に経営したいために、大企業になってもあえて上場しない企業もあります。
上場するメリットは、株式を売ることでお金が手に入るので、それを元手に事業をさらに拡大することができますし、経営者も儲かります。上場しなければ、商品を売った売上が主な収入源で、その中から創業者が利益を得る形になりますが、上場すると、株式を売ったお金がもらえます。
ユニクロの創業者が長者番付に入っているのは、ユニクロの売上から多額の報酬を得ているのではなくて、持っている株の時価総額が高いからです。「株を上場させれば創業者は儲かる」という法則があります。
上場すると株主の意向を尊重しなければならないという制約が生まれるので、「自然派を追求した、理想の商売をしたい」という考えよりも、「商業的に成功させる」ということを重視している方のように見えます。
外野の勝手な憶測であり、真相はわかりませんが、経歴を見た印象だとこのように感じます。
大地を守る会との経営統合も戦略では
宗教っぽいとされている「大地を守る会」も運営していることで、共産党疑惑が生まれているようですが、他にもらでぃっしゅぼーやも経営統合しています。
2017年10月、有機・無農薬野菜販売の草分け的存在である「大地を守る会」と経営統合し、新会社社長に就任。2018年10月、らでぃっしゅぼーや株式会社と経営統合をし、2020年4月には東京証券取引所市場第一部へ市場変更。食品宅配事業の更なるマーケット拡大を目指す。
同業他社との経営統合というのは、メリットが大きいことなので企業の経営戦略として普通に使われています。業界内でのシェアが上がる、競争が少なくなるなどのメリットです。
大地を守る会は確かにちょっと独特なので慣れてない方は考え方に驚くかもしれませんが(自然派メーカーに慣れている立場からすると普通に食をまじめに考えているだけに見えますよ)、大地を守る会に仮に共産主義的な考えがあったとしても、だからおいしっくすが共産党とつながりがあるということにはならないです。
最近だと、栗原はるみさんの会社とも資本提携しているそうですし、資本関係を広げていくという運営方針の会社なだけだと思います。
経営者の経歴が、農家さんではなくてコンサル会社なので、「おいしいものを愚直に作っていく」という感じではなくて、経営統合などの資本主義の仕組みをフルして事業を拡大していくというスタイルのようです。そのため、全く共産主義には見えません。心配だったかたは安心していいと思います(笑)
おいしっくすはお金持ち向けのサービス
おいしっくすは、お金持ち向けのサービスのように思えます。
おいしっくすの商品は確かにおいしいですし、数年利用していますから私もこれまで合計100万円くらいは買っています。ただ、割高感は常に感じています。
生協の商品はおいしいものが多いですが、利用方法も面倒だし、始めるハードルは割と高いです。おいしっくすは、そのような手間をかけずに使い始めることができるサービスで、その分割高になっているのかなと思います。
同等の製品が高い
とある生協に加入した際、営業担当の人が、「おいしっくすと同じ農家さんの商品を安く扱っている。おいしっくすは様々なコストがかかっているので高い」と言っていました。
私も食べてみた感想として、それは事実ではないかと思います。
生協(生活クラブ)とおいしっくすの価格がどれぐらい違うのかを比べてみました。
商品 | 生協 | おいしっくす |
牛乳(1000ミリ換算) | 315円 | 329円 |
平飼い卵(6個) | 337円 | 462円 |
豚バラスライス(100グラム) | 266円 | 362円 |
鶏モモ肉(100グラム) | 213円 | 279円 |
勝手においしっくすの顧客層を予想してみたのですが、
- 野菜やお肉などがスーパーで売っている商品よりは明らかにおいしいので、生協の商品を食べたことがない人がおいしっくすのお試しセットを買ってみておいしさに感動して契約するパターン
- 生協で同等の商品があるのは知っているが、不便なのであえて割高なおいしっくすを使うパターン
が多いのではないかと思います。
どちらのパターンにしても、生協よりもスーパーよりも高いので、ある程度お金に余裕がある層がメイン顧客になっているのではないでしょうか。
ちなみに、私は高校生から奨学金(借金)を受けて学費は自分で払い、お小遣いは高校生にもかかわらず月1000円、塾などの学習費用は一切かけてもらえないという状態で、スーパーの製品より1.5倍くらい高い自然食品を食べるという家庭で育ったため、必ずしも自然派食品⁼お金持ちではないですが、ある程度はそういう傾向があると思います。
タイアップがブランド志向
おいしっくすをしばらく使っていると、タイアップがブランド志向であることに気づきます。普通の商品は少し割高程度ですが、タイアップ系になると明らかに高い水準に入っていきます。
例えば、よくチラシが入っている「Oisixおうちレストラン」シリーズはこのようになっています。
商品 | 内容量 | 価格 |
博多かわ屋 博多流とりかわ焼き | 20本入り 320g | 5216円 |
串カツ田中 新おうちで楽しむ串カツセット | 20本 | 4277円 |
千房 大阪グルメくいだおれセット | ・豚玉 2枚(236g×2) ・ねぎ焼すじこん 2枚(201g×2) ・オムそば1P(220g×2) ・たこ焼1P(8個入り) | 4731円 |
内容量に対する価格が高すぎて、思わず二度見してしまうレベルです。タイアップは高いのがわかっているので、普段は見ることもありません。
私のように絶対買わない人もいるでしょうけど、基本的にはこの価格帯のものを「おいしそうじゃん」と思って実際に買う層が顧客層ということですね。
お金持ち向けサービスだとどうなのか?
共働きしていれば買えるレベルなので、お金持ち向けサービスというよりは「小金持ち向けサービス」かもしれませんが、そういう傾向があるなんとなく感じていただけたと思います。では、それと共産主義がどういう関係があるのでしょうか。
そんな詳しいわけではないですが、共産主義の基本は、「みんな平等に」ですよね。
その理念から考えると、「安心・安全な食品をなるべく幅広い人が食べられるように」という方向になるのが自然です。生協にはそんな感じのところがありますので、パッケージなどは質素で、余計なコストがかかっていない感じがします。
それに対しておいしっくすは、「Oisixおうちレストラン」に限らず、普通のご家庭が気軽に買えないレベルの商品をガンガン売っていますから、そういう理念を持っているようには見えません。
牛乳飲み比べのときに気づきましたが、おいしい商品は本当においしいので、使い方次第ではいいサービスなのですが、買ってもいいかなと思える価格帯のものは少ないので、特定のものしか買わないという使い方をしています。
根拠のないことは考えなくてもいいのでは
おいしっくすは共産党系のようには見えないということを書いてきましたが、たぶん気にしている方が心配しているのは、一見資本主義者として行動しているように見えても、隠れて共産党を支援しているような人・団体のことですよね。(共産党シンパ)
明らかに共産党を批判しているならともかく、食品企業ですから明確な政治姿勢などは示していません。そのため、おいしっくすが共産党ではないというはっきりした根拠を示すことはできません。しかし、共産党を支持していることを思わせる根拠も同様にないのです。
価格が高すぎな感はあるのですが、いいサービスであることは間違いないです。あまり気にせず、サービスそのもので評価するのがいいのではと思います。お試しセットはお得です。