20年以上前に、「カップラーメンのプラスチック容器から有害物質が溶け出す」説が出て大きな問題になりました。
容器の原材料をより安全な変更したメーカーも多く問題自体が小さくなったことや、溶け出た物質のはっきりとした有害性の根拠が示されていないことから、最近はあまり耳にしません。
しかし、一部が溶け出していてそれが口に入っているのは事実ですので、一部で論争は続いています。
最近はまた別の問題として、カップ麺にお湯を入れる際に、よりおいしくしようとごま油などを足すと、底が抜けるレベルでプラスチック容器が溶けてしまう問題も出てきているようです。
どのような問題なのかは以下の記事でまとめています。この記事では、カップ麺のプラスチック容器が溶けるのが心配なときにとる対策を3つ紹介します。
カップ麺のプラスチック容器が溶けるのは事実
「カップ麺のプラスチック容器が溶けて有害物質が出ている」説は現在、「溶けていることは事実だが、溶け出た物質の有害性ははっきり確認されていない」という状況です。
溶け出ていること自体はカップラーメンメーカーも否定していないですし、東京都健康安全研究センターなどの試験で明らかに認められています。
しかし、それが人体に有害かどうかは、有害性を示すはっきりした研究が出ていません。全くないわけではなく少しはあるようですが、そもそもこの問題への関心が低下しているため、活発に研究が行われているわけではありません。
話題になった当時に使われていたポリスチレンよりも安全なポリエチレン容器が普及したことや、エコの観点から紙製の容器への切り替えが進んでいることなどから、関心が低下しているのではないかと思われます。
しかし、現在でも一部ではポリスチレン製の容器が使われています。有害性が証明されていなくても、溶けているだけで口に入れたくはないですよね。
ラップについても、ラップの成分や添加物を口にしてしまうことが心配されています。
ごま油等のちょい足しの方が危険
現在より危険性が指摘されているのが、カップ麺へのごま油等の「ちょい足し」です。
「カップ麺のプラスチック容器が溶けて有害物質が出ている」説で問題になったポリスチレン製の容器を現在も使い続けているメーカーで起きている問題です。
一般的な油よりもすばやく消化・吸収され、すぐにエネルギーになりやすいとされていて、好んで使われる「中鎖脂肪酸を多く含む油」をポリスチレン製のカップ麺容器に入れると、容器が溶けてしまいます。
国民生活センターがやった検証では、このように底まで溶けることもあるようです。
出典)国民生活センター
この検証では、2パターンで検証したそうですが、上記の底が抜けた結果が起きたのは、「①湯を注いで3分後にテスト対象食用油を加えた場合」のほうです。
- 湯を注いで3分後にテスト対象食用油を加えた場合
- テスト対象食用油を加えた直後に湯を注いだ場合
お湯の温度もだいぶ下がった状態でもこんなになってしまうんですね。
また、一番ひどい結果になったのが、中鎖脂肪酸100%の「MTCオイル」です。中鎖脂肪酸が健康にいいとされているため、わざわざお値段高めのMTCオイルを使っていた人が、よりひどい結果になっているということですね。
ちょい足し油は油そのものを食べるような形なので、健康にいい油を使いたいという気になりますよね。
ほかに問題になったのも、ココナッツオイル、えごま油、アマニ油など、高めで健康にいいとされている油です。
大きく溶けている写真は、中鎖脂肪酸100%のMCTオイルを加えた場合なので一番ひどいですが、ほかの油では漏れない程度に変質することもあるそうです。そちらの方が、溶けた物質を食べてしまうので、より心配になりますよね。
カップ麺のプラスチック容器が溶ける対策
カップ麺のプラスチック容器が溶ける対策は、実は簡単です。
カップ麺の中身をどんぶりなどの器に移してお湯を注げばいいだけです。
通常カップ麺の容器には保温性がありますので、普通の器に移し替えると芯が残るのが心配になりますが、容器を温めるなどの工夫をすると、意外と普通の食感になります。
そのほか、容器の素材を確認する、ノンカップ麺を買うなどの対策があります。
①カップ麺を器に移す
②容器の素材を確認する
③ノンカップ麺にする
カップ麺の器を移す
カップ麺の器を移す際には、気をつけなければいけないこともあります。
- お湯の量がわからない
- カップをあたためておいた方がいい
カップ麺の容器にはお湯の量を示すラインがありますよね。カップ麺を器に移す場合はこのラインが使えないので、お湯の量の調整が目分量になります。
もしくは、多少は溶けた物質が入ってしまうと思われますが、お湯をいったん容器に注いで量の調整をした後、すぐに器に移す方法もあります。
また、おいしく仕上げるために温度の点も重要です。
カップ麺に入れるお湯とは別のお湯で、事前に容器をあたためておくと、お湯の温度が保たれやすくなります。
サイズ的に入るなら、保温ランチジャーを使うという手もあります。あまり使っている人は見ないですが、これは、出先でも温かいお弁当が食べたい方向けの容器です。
カップ麺の容器の素材を確認する
カップ麺のパッケージには、容器の素材が書かれています。
プラマークの下に、ポリスチレンの場合は「PS」、ポリエチレンの場合は「PE」と書かれます。また、ポリスチレン製の容器だった場合、添付以外の食用油を加えてはならない旨の表示もついています。
ポリエチレンは比較的安全な容器と言われているので、特に「PS」と書かれていたときに注意が必要です。
ちなみに、見ただけでは素材はわかりません。
日清の場合、カップヌードルはぱっと見た感じはプラスチック製に見えるのですが、実は重層構造になった紙容器を使っています。一方、どん兵衛などの他の製品はポリスチレン製の容器を使っていることもあります。
ノンカップ麺にする
カップ麺の容器が溶ける問題が気になる人や、エコ志向の人が多い生協では、最初からカップに入っていない「ノンカップ麺」が販売されています。
ノンカップ麺とは、袋入りのインスタントラーメンですが、スーパーに売っている一般的な袋入り麺とは作り方が違います。
一般的な袋入り麺はお鍋に入れてゆでますが、ノンカップ麺は、自宅の皿にノンカップ麺の中身を入れ、熱湯を入れてサランラップをして、3分程度待てばできるものです。
自宅の皿を使うだけで仕組みはカップラーメン同じですが、「手軽に食べられる」が売りのカップラーメンに、皿を移し替えてサランラップをかぶせるという面倒が加わっているとも言えます。
メリットは、もともと自宅の皿にお湯を入れてあたためることを想定しているので、カップ麺と違って芯が残る心配をしなくていいことです。
味は普通においしいのですが、バリエーションはほとんどありません。トーエー食品のものを扱っている生協が多いようなので、生協が違っても味のレパートリーが同じだったりします。
カップ麺の容器が溶ける問題ではノンカップ麺がイチオシ
ノンカップ麺も通常のカップ麺と同様に揚げ麺なので、脂質などの点から健康にいいとはいえません。しかし、カップラーメンよりは薄味で塩分控えめなのであっさりしています。
カップラーメンをアラフォーが食べると最後の方はちょっと食べるのがつらくなることもあるのですが、ノンカップ麺だとあまりそういうことは起きないです。
通販か生協が主な購入ルートになるので買いづらいのですが、気になった方は試してみてください。