自然食

パルシステムは共産党と関係ある? リアルタイムで炎上するレアな生協

自分が幼稚園のときにすでに実家が生協を契約していましたし、大学進学で家を出てからも自分で使い続けています。すでに30年以上生協と関わり続けていることになります。

最近はネット注文主流で紙のお知らせが少なくなりましたが、昔は注文用紙と一緒にさまざまな活動のご案内も入っていたので、「どちらかといえば左翼寄りなんだろうな」というのははっきり感じていました。

しかし、生協はもともと営利企業ではありませんから、「物を売って終わり」ではなくそれ以外の活動もしていることにそこまで違和感はありませんでしたし、気にしてもいませんでした。

思いつきで生協と共産党の関係について記事を書いてみたところ、意外にもたくさん読まれていて驚きました。「生協が共産党と関係があるなら利用したくない」と考えている人はかなり多いようです。

生協というのは、本部と支部といった関係のある大きな団体ではなくて、限られたエリアで活動する生協がそれぞれ独立して運営されています。なので、「生協と共産党のかかわりがあるか?」という質問には意味がなく「〇〇生協は共産党とのかかわりがあるか?」と考える必要があります。

これまで、左翼オーラの強いグリーンコープや生活クラブについて、共産党との関わりがあるかを調べてきましたが、今回はパルシステムについて調べてみました。

グリーンコープや生活クラブと異なり、パルシステムは現在進行形で行っている左翼活動で批判されることがあるという珍しい生協でもあるようです。

パルシステムの設立の経緯は?

パルシステムは、生協の中でも創業のなりたちが複雑という特徴があります。

グリーンコープや生活クラブは、立ち上げた人が明確にわかっており、その人が思想的にどのような立場の人かということを調べることができます。

しかし、パルシステムはもっと複雑です。

正式には「連合会」

多くの組織正式名称は「パルシステム生活協同組合連合会」といって、首都圏を中心とした地域生協とパルシステム共済生活協同組合連合会が加盟する連合会組織です。以下の組織が加盟しています。

パルシステムとして一緒に活動するときもありますが、左翼的な活動は基本的に個々の生協で独自に行っているようなので、ひとくくりにして「パルシステムは共産党と関係があるかどうか」を考えることができないのです。

さらに、このそれぞれの地域生協も、合併を繰り返して現在の都道府県に1つの形になっています。

パスシステム東京だけ見ても、このような合併の歴史があります。大きな合併で設立された2生協が1996年にさらに合併して「東京マイコープ」となり、2008年に「生活協同組合東京マイコープ」から「生活協同組合パルシステム東京」へ名称変更したという経緯です。

1988年たつみ生協(1970年設立)、あけぼの生協(1972年設立)、江戸川生協(1976年設立)が合併、Eコープ誕生
1993年タマ消費生協(1970年設立)、北多摩生協(1971年設立)、ふれあい生協(1974年設立)、西多摩生(1975年設立)、立川生協(1974年設立)が合併、ジョイコープ誕生
1996年Eコープとジョイコープの合併により『東京マイコープ』誕生(本部・稲城)

設立年的には怪しい

1970年代に設立され、合併で現在は存在しない生協の創業者が誰だったのか、どのような思想を持っていたかは、調べるのがすごく難しいです。

同じく首都圏で活動する生協、生活クラブの創業者である岩根 邦雄さんが書いた本などを見ればわかるかもしれませんが、、、。

1970年代は共産主義・社会主義の運動が活発だった時代なので、その時代に共産党系の生協が多数設立されたというのは事実のようです。

それ以前に設立された生協ももちろん多数ありますし、1970年代に設立されても、共産党とは対立関係にある左翼派閥が設立に関与していたこともあるようです。そのため1970年代に設立されたから共産党系とは一概にはいえないのです。

しかし、パルシステムの前身であるEコープ・ジョイコープに参加した生協がすべて1970年代に設立されたということは、なんらかの左翼派閥と関わりがあった可能性はあると思います。

左派系新聞の人民新聞社が1999年に書いた記事によると、左翼派閥と生協との関わりはこのようなものだそうです。

◇「60年安保闘争」終焉後の1960年代半ば、運動の「陣地」として、日本共産党と「ブンド」を中心とした反日共系左翼による大学自治会の主導権争いが激化。並行して大学生協をめぐる主導権争いも展開される。
◇大雑把に言えば、京都を境に西は反日共系、東は日共系が抑える
◇70年代に入り、大学生協を基盤にそれぞれが地域生協へ展開。日共系は「市民生協」を全国的に組織化。
(日本生協連の主流である「神戸灘生協」はこれとは流れの異なる別格、また「生活クラブ」生協なども同様だが、ここではそれは省略する。)

大学生協が地域生協の設立支援をする流れがあったということは、この左派系新聞の記事だけではなくいくつかの昔の資料で確認できます。

この記事によると、京都より西の大学生協は共産党と敵対する勢力(反日共系)、京都より東は共産党系の勢力(日共系)が強かったそうなので、もしパルシステムが1970年代の大学生協が支援して設立したタイプの生協であれば、少なくとも設立当時は共産党とのつながりがあった可能性はあります。

現時点の運営方針とは別

昔は今よりも共産党の勢力が大きかったです。しかし、今はだいぶ勢力が小さくなっています。それに伴って、昔は共産党と関わりがあった生協も、徐々に関わりが薄くなっているという説もあるようです。

朝日新聞の昔の世論調査をまとめた資料によると、共産党の支持率は1973年11月には9%に達していました。これに加えて、共産党と対立する左翼勢力もあったので、共産主義・社会主義全体としてはかなりの影響力がありますよね。

「生協と共産党の関わりが薄くなっている」という説が出たのが2000年ごろですから、現在はもっと関係が薄くなっている生協があってもおかしくありません。

この点も考慮しつつ、パルシステムの現在の左翼的活動を調べてみました。

現在も炎上中

生協のサイトのから「取り組み」などのメニューを見るとある程度カラーが見えてくるのですが、グリーンコープは「平和活動」「脱原発」などかなり左翼オーラが強いです。

グリーンコープ活動分野

それに比べてパルシステムは、取り扱っている「食」に関する活動がメインでそれほどとがっていないという印象だったのですが、パルシステムに「連合会」という特徴があるのを考慮し忘れていました。

いくつかの生協が集まった「連合会」だと、サイトに書ける内容は、加盟生協の意見が一致した内容が中心になりますので、あたりさわりのない内容になりがちです。

加盟生協の個々のサイトを見てみると、平和活動などにかなり力を入れている生協もあるようでした。

ほかの生協は、「〇〇生協 共産党」で検索しても、「共産党と関係があると聞き、不安です」といった程度の漠然とした不安を持った方がYahoo知恵袋などに投稿しているだけのことが多いですが、パルシステムは、現在進行形で左翼団体との関わりが批判されている珍しい生協です。

直近数年だけでも3つも問題になった案件があるようなので、調べてみました。

・のりこえねっとに資金提供

・村木厚子氏とのつながり

・「韓国は『敵』なのか」に署名

のりこえねっとに資金提供

「ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク」という正式名称の「のりこえねっと」という団体があるのですが、パルシステムが2015年度の市民活動助成基金の中からこののりこえねっとに50万円の資金提供をしたことが、一部で批判されているようです。

パルシステムは連合会なので、資金提供をしたのは正確にはパルシステム東京です。

のりこえねっとは反日団体と批判

のりこえねっとは、2017年にMXテレビで報道された「ニュース女子」という番組内で、沖縄の米軍基地反対運動に対するのりこえねっとの関わり方が事実と異なる報道をされたと抗議したことで有名になりました。

BPO(放送倫理・番組向上機構)への申し立てや裁判が行われていました。

BPOでは放送倫理上の問題点が指摘されていましたが、裁判のほうも2021年にやっと判決が出て、名誉棄損が認められたそうです。

裁判的にはのりこえねっとの主張の方が認められたわけですが、のりこえねっとを「反日団体」と認識している人もいるため、助成金の支給が問題となったようです。

がっつり関わりがある

のりこえねっとが設立されたのが2013年、パルシステムが資金提供をしたのが2015年、ニュース女子問題でのりこえねっとが有名になったのが2017年です。

なので、ニュース女子問題のごたごたを知っていながらのりこえねっとに資金提供をしたわけではなく、たまたま資金提供をした団体が全国区の知名度を悪い意味で獲得してしまい、巻き添えで批判されているという形にも見えます。

しかし、パルシステムとのりこえねっとには、もっとがっつり関わりがあるようです。

のりこえねっとには共同代表が多数いて、若森資朗さんという方も共同代表です。この方は、パルシステム生活協同組合連合会の元理事長です。

経歴を見てみると、1970年代に設立されたことから共産主義・社会主義運動と関わりがある可能性があるという見方が正しいように思えてきますね。

1970 年前後の数年、学生運動、全共闘運動に参加。それに区切りをつけ、その後は生協活動一筋に取り組む。 現在は生協活動に根を置きつつもその範囲に留まらず、今までとは違った形での市民活動への参画を心がけています。 とは言っても生協しか知らないので、市民活動を行ってきているみなさんの邪魔にならないよう心がけ、学びながら、 自分にとっては新たな領域での活動ですが、自らの経験を生かせたらと考えています。

村木厚子氏とのつながり

経緯が複雑すぎてわかりづらいのですが、村木厚子氏とのつながりも批判されているようです。

村木厚子氏とは、厚生労働省の元官僚です。企業が障害者用の郵便料金割引制度を悪用し、不正に安くダイレクトメールを発送したという事件があったのですが、この事件に関与しているとして逮捕・起訴されていました。

その後、裁判で無罪になったため厚生労働省に復職しています。定年退職後は津田塾大学の客員講師や企業の取締役などを務めているそうです。経歴が豪華すぎるので、経験が評価されたというよりは「天下り」のように見えます。

ツイッターのユーザーが問題点を指摘し、2500回以上リツイートされたものです。非常に複雑で、何が問題なのかわかりにくいので、パルシステムとの関わりのみをまとめてみました。

若草プロジェクトが発端

まず、このツイッターのユーザーは、生きづらさをかかえる少女・若い女性を支援する団体である「若草プロジェクト」について調べていて、パルシステムの関わりを見つけたそうです。

「若草プロジェクト」には、東京都による「若年被害女性等支援事業」の会計不正の疑惑が指摘されており、2023年3月に監査が開始されました。「若年被害女性等支援事業」は仁藤夢乃さんが代表を務める「Colabo(コラボ)」という団体で会計不正があったことが確定しており、残りの団体についても調査するという趣旨です。

出てくる関係団体・関係者がパルシステムも含めて7つありますので非常にややこしいです。

関係者A関係者B関係者C内容
若草プロジェクト村木氏村木氏は若草プロジェクトの代表呼びかけ人
抱樸Colabo村木氏「若草プロジェクト」について調べていた際に、
Colabo理事の奥田知志氏が理事長の団体である「抱樸」と村木厚子氏とのつながりを示す情報を入手した
抱樸パルシステム以下の2点により、抱樸の運営にパルシステムが関与していることが判明した
・石田敦史 パルシステム連合会 代表理事 理事長が抱樸の理事になっている
・抱樸の事務局の住所がパルシステム生活協同組合連合本部の住所と同じ
抱樸一般社団法人全国居住支援法人協議会抱樸の共同代表・顧問と、一般社団法人全国居住支援法人協議会の共同代表・顧問が一致していた
一般社団法人全国居住支援法人協議会一般社団法人 くらしサポート・ウィズ全国居住支援者法人協議会の所在地を調べたところ 「一般社団法人 くらしサポート・ウィズ内」にあった
くらしサポート・ウィズパルシステム「くらしサポート・ウィズ」の役員構成に「パルシステム」の関係者が非常に多い
くらしサポート・ウィズ一般社団法人全国居住支援法人協議会若草プロジェクト「くらしサポート・ウィズ」の連携会員に、「全国居住支援法人協議会」と「若草プロジェクト」が入っていた

まだまだ続くのですが、パルシステム関係はいったんここで終わります。

その後、このように結論づけています。

村木厚子氏を介して 1.厚生労働省 2.内閣官房 3.国土交通省 4.抱樸 5.パルシステム 6.コープ(coop) 7.若草プロジェクト が繋がったことになり、尚且つ、国土交通省から公金を引っ張るスキームも現在進行系で画策している疑いが更に強まったと言える。

会計不正問題のColaboにも助成金

「若草プロジェクト」が問題になっているのはそもそも、同じ「若年被害女性等支援事業」で資金を受け取っていた、「Colabo(コラボ)」という団体で会計不正があったことがきっかけです。

パルシステムは、のりこえねっとと同じ2015年にColaboにも助成金を支給しています。

先ほど書いた、抱樸とパルシステムの関わりが判明したきっかけも、Colabo理事の奥田知志氏が「抱樸」の理事長だったことです。

助成金への応募があった段階で審査を始めて決定したというよりも、もともとの左翼人脈から出来レース的に助成金を出したようにも見えてしまいますね。

他の左翼団体とがっつり提携している

若草プロジェクトについては詳しくないですが、会計的にずさんだったとしても、活動自体は純粋に善意でやっている方も多いので、「隠れて結託して公金をだまし取ろうとしている」という風に決めつけるのはどうかなとは思います。

若草プロジェクトに問題があるのか、団体同士が密接に協力し合ったら悪いのかという問題は今回は考えないことにしますが、パルシステムの活動の特徴として、他の団体との関わりは強いように見えます。

これまでに関西より西で展開するグリーンコープと、関西より東で展開する生活クラブについて共産党とのかかわりを調べてみたのですが、この二つは他の団体と提携するのではなく独自の活動が多いように見えます。

グリーンコープは現在は存在しない共産党と対立していた派閥の出身の方が設立、生活クラブは社会党系(現在の社民党)系の活動をしていた方が設立したようでです。

一方パルシステムは、1970年代に関東で設立された生協が母体だという点から、共産党と関わりがある可能性はあるように思えます。

憶測の域になりますが、このような見方もできますね。

・出身派閥が消滅した、または非常に弱体化しているためにこのグリーンコープと生活クラブは独自路線の活動をしている。

・パルシステムは設立時にかかわりがあった(可能性がある)共産党が現在もある程度影響力を持っているため、他の団体との協力が活発になっている

「韓国は『敵』なのか」に署名

2019年に発表された「韓国は『敵』なのか」という声明に、パルシステム連合会の顧問である山本伸司さんが署名したことも問題視されているようです。

署名した人は全部で1627名で、会社員などの一般の方も含まれますので、パルシステム生活協同組合連合会の元理事長がのりこえねっとの共同代表だったのと比べるとインパクトはそこまでないです。

署名当時は顧問でしたが、山本伸司さんはパルシステムの元理事長だったそうなので、理事長経験者の左翼傾向は強そうですね。

パルシステムである必要はない

パルシステムの3日分の時短ごはんセットをしばらく使っていたことがあり、結構気に入っていました。1日目の分がカット済み食材、2日目と3日目の分がカットなし食材なので、1日目以外は食材が悪くなる時間をあまり気にせずゆったり調理できるメリットがあります。

その後忙しくなったため全部カット済み食材のサービスに変えたので今は使っていないですが、いいサービスだったと思います。

個人的には共産党との関係より売っている商品が大事だと思っているので、パルシステムはパルシステムでいいところはあると思います。

ただ、無添加や有機野菜にこだわった商品が買いたいだけなら、生活クラブでもいいわけですし、パルシステムでなければいけない理由はありません。

確定的な証拠ではないですが、他の生協と比較してみても共産党っぽい感じはしますので、気になる方はほかの生協を検討したほうがいいかもしれません。