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坂ノ途中・小野社長の経歴は? 京大出身・外資系金融機関出身

大手の宅配食材サービスは減農薬野菜が中心で無農薬野菜の取り扱いは少ないです。

無農薬野菜を食べたい場合は、原則無農薬・化学肥料なしのお野菜を比較的安く提供している宅配サービスの「坂ノ途中」があります。

最近知名度が上がってきたサービスなので、まだ情報が少ない面もあります。

有機栽培に取り組む若手の農家さんを支援することを活動目的としていて、社長やスタッフも比較的若いようです。

この記事は、坂ノ途中の社長である小野 邦彦さんの経歴について紹介します。

坂ノ途中・小野社長は外資系金融機関出身

小野邦彦社長の経歴は、すでに知名度の高い宅配サービスである「オイシックス」の髙島宏平社長と似ています。

お二人とも農業の仕事をしていた方ではなく、有名大学を出てビジネスにかかわる大手会社に入社し、そこから食品業界に来たという経歴です。

京大出身・外資系金融機関勤務

髙島宏平さんは、「東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻修了後、マッキンゼー日本支社勤務を経て、オイシックス株式会社を設立」という経歴、小野社長は、「京都大学総合人間学部出身、外資系金融機関で勤務後、株式会社坂ノ途中を設立」という経歴です。

会社を設立した年齢も似ています。高島さんは1973年生まれで、27歳くらいの2000年においしっくすを設立しています。一方小野社長は1983年生まれで、26歳くらいの2009年に坂ノ途中を設立しています。

大手の会社に入って社会人経験を積んで、お金も貯めてから企業したのだと思われます。

ビジネス的な成功を重視

オイシックスと似ているのは経歴だけではありません。

坂ノ途中もオイシックスも、「支持してくれる人においしいものを届けられれば満足」というような方針ではなく、積極的に事業を拡大させようとしています。

オイシックスは「上場企業」と呼ばれる、一般の人が自由に株式を売買できる企業です。

上場すると、株式を一般に販売することができるため、資金調達がしやすくなります。坂ノ途中も、オイシックスのように上場を目指す運営をしているようです。

坂ノ途中は、上場後の株式価値の向上から利益を得ることを目的に出資する企業から資金提供を受けています。2021年5月に、大手企業から出資を受けたことが坂ノ途中から発表されていました。

持続可能な農業の普及を目指す、株式会社坂ノ途中(京都市下京区/代表取締役 小野 邦彦)は、MSIVC2020V投資事業有限責任組合(運営:三井住友海上キャピタル株式会社)、ハウス食品グループイノベーションファンド、味の素株式会社等を引受先とした第三者割当増資および株式会社日本政策金融公庫等からの融資により、総額8億3,108万8,000円の資金調達を実施しました。

「MSIVC2020V投資事業有限責任組合(運営:三井住友海上キャピタル株式会社)」「ハウス食品グループイノベーションファンド」「味の素株式会社」などの会社が、資金を提供する代わりに現時点では一般の人は取引できない坂ノ途中の株式を購入しています。

数年または十数年後に坂ノ途中が上場した際、高くなった株式を売って利益を得るという仕組みです。

このようなタイプの資金提供を受けているので、積極的に事業を拡大して上場を目指すことになるのです。

自然派企業ではない、どちらかというと添加物盛りだくさんの「ハウス食品」「味の素株式会社」から資金提供を得ているのがおもしろいですね。

自分たちは添加物を気にしない人向けに商売をし、出資した企業に自然派向けの商売をさせることで、どちらからも利益が得られるようにする戦略なのかもしれません。

坂ノ途中・小野社長の目指すものは?

坂ノ途中の公式サイトには、小野邦彦社長の目指すものが紹介されています。

坂ノ途中が目指しているのは、環境負荷の小さな農業に取り組む人たちを増やすことです。
100年先もつづく農業のかたちをつくりたい、そして持続可能な社会にたどり着きたいと考えています。

ひとつの方法として、私たちは農産物の販売をしています。
つながっている農家さんは、西日本を中心におよそ300軒。
そのうちの9割が新しく農業に挑戦した人、つまり新規就農者さんです。
農業をはじめて間もない人たちと連携して事業がーーかろうじてなりともーー成り立っているのは、おそらく日本で初の事例だと思います。

目指すものには、以下4点があるそうです。

①環境負荷の小さい農業

②新規就農者支援

③効率化のための自動化システム開発などの工夫

④創意工夫のつまった、バリエーション豊かな野菜

環境負荷の小さい農業

会社のキャッチフレーズとして、「100年先もつづく農業を。」や「未来からの前借り、やめましょう」がよく使われています。

現在の農業の環境負荷を問題視し、その状況を改善していくことを目指しているそうです。

現代農業は、今、この瞬間のコストは縮減できるし、安定した多くの収穫が期待できます。
でも、その一方で、環境への負担は確実に積み重なり、水質汚染や土壌の劣化を招いています。
エネルギーもたっぷり使います。生物多様性は損なわれていきます。
つまり今の農業の効率性の高さは、未来に目を向けないことで実現されているという側面があるのです。
私たちはそのかたちを変えたいと思っています。

農薬・化学肥料に関する基準を設けている企業はたくさんありますが、環境負荷に関してはあまり見かけません。

しかし、坂ノ途中では環境負荷に関する基準も設け、取り組みを行っている農家さんと優先して取引しているそうです。

マクロな目で見た環境負荷の低減とは、

  • CO2やメタンガスなど、温室効果ガスの排出を低減する
  • エネルギー効率の改善に取り組む(化石燃料や化学肥料への依存度を下げる)
  • 限りある資源に頼らない(リン鉱石やカリ鉱石、天然ガス、石油、ピートモスなど)

ローカルな意味での環境負荷低減とは、

  • 生物多様性の維持、回復に取り組む(多くの生き物の生息地となるような冬期湛水や魚道設置などの工夫、 インパクトの大きな農薬の不使用、GMO種子の不使用)
  • ローカルな余剰有機物を利活用する(近所の養鶏場からもらってきた鶏糞のたい肥化、落ち葉や畔草の利活用など)
  • カバークロップや緑肥の活用による土壌流亡の抑制

新規就農者支援

坂ノ途中は、新しく農業を始めた「新規就農者」への支援を打ち出しています。提携している農家さんの約8割が新規就農者だそうです。

農業は人気の職業とは言い難い状況ですが、あえて自分の意思で農業を始めた方ばかりなので、勉強熱心な方が多いそうです。

しかし、親から農業を継いだ方と違い、小規模からスタートとなりますので、少量の農産物を扱いたい会社が少なく、売り先が確保できない問題があるとされています。

坂ノ途中が少量でも取引をすることで、そうした農家さんの支援になり、新規就農者さんが目指すことが多い有機農業などの普及が目指せるという効果があるとのことです。

新規就農者支援といっても、ボランティア的にやっているわけではありません。

小規模な取引先だとどうしてもコストがかさんでしまいますので、ややお高めなのかと予想していましたが、オイシックスと比較したところ、むしろ農産物そのものは安めでした。(加工品は高いです)

イオンなどの普通のスーパーの値段と比べるとさすがに高いですが、原則無農薬のお野菜としては、お値段は抑えめで販売されているようです。

https://natural-food.site/%e5%9d%82%e3%83%8e%e9%80%94%e4%b8%ad%e3%81%ae%e3%82%b3%e3%82%b9%e3%83%91/

効率化のための自動化システム開発などの工夫

自然派志向の方には、「機械が嫌い、手作業大好き」なタイプの方もいるのですが、坂ノ途中は違うようです。社内にITエンジニアがいて、野菜の入荷管理システムなどの自動化を進めているそうです。

そのような技術面での工夫をすることで、小規模農家さんとの取引などこれまで難しかったことを実現させていくことを目指しているとのことです。

創意工夫のつまった、バリエーション豊かな野菜

野菜の宅配企業ですから、安全でおいしい野菜を作るのが第一ですよね。

坂ノ途中は、おいしいお野菜や、お野菜のバリエーションの多さが自慢のようです。

バリエーションといってもお野菜の商品数はかなり少なめです。

たけのこやふきなど、水煮で売っているところの方が見かける食品が生で販売されているので、そのような点で、しなぞろえが独特だなという感じはします。

お高いので気軽には買えませんが、加工品の方は、スーパーで見かけない商品が多数販売されています。

「農薬に頼らず丁寧に育てた自家製”大葉(青しそ)”と、 梅酢漬けにした赤しそを乾燥させ、 三重県の海洋深層水からつくられたまろやかな味わいのお塩とブレンド」して作られたという「大葉ソルト」など、かなり気になります。おにぎりにするとおいしそうです。

ハーブと岩塩を組み合わせたクレイジーソルトはスーパーでもよく売られていて私もたまに使っています。塩と混ぜる系の調味料は洋風なことが多いので、大葉ソルトは和風料理にも使えそうでいいですね。

坂ノ途中は小野社長も含めスタッフが若い

坂ノ途中は、ほかの宅配食材サービスでは扱われることが少ない無農薬野菜なので、味には特徴があります。

葉物系は青臭い味がするため好みは分かれると思いますが、ほかに目立った競合サービスがないので、無農薬野菜が好きな方には支持されるかもしれません。

坂ノ途中のスタッフも提携先の農家さんもよく勉強して努力しているのだろうと思いますが、全体的に会社が学生ノリのようにも感じられます。

「理想を目指してがんばっています。まだ『坂の途中』だから至らないところがあってもおおめに見てね」というように考えているようにも見えてしまうのです。

具体的には、加工品の取り扱い基準についてのページタイトルが「坂ノ途中の「いまのところの」取り扱い基準・加工品バージョン」となっているところなどですね。

実態が「いまのところ」であっても普通の企業はもっと別の表現を使うのではないかなと思いました。

小野邦彦社長は1983年生まれなので今は40歳くらいです。社長としては比較的若い年齢ですね。

常時ではありませんがお試しセットもありますので、気になった方は試してみてください。