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パンの無添加とは? スーパーで買えるパンや見分け方も紹介

無添加のパンが食べたい!と思ってもスーパーには添加物入りのパンばかりですよね。

スーパーに置いてある大手メーカーの中では、パスコの超熟シリーズが比較的添加物が少ないのでおすすめです。

また、スーパーやコンビニではなくパン屋さんのパンは、原材料表示が書いていないので判別しづらいです。お店の人に聞けば最終的にはわかるとは思うのですが、店長レベルでないと添加物の使用の有無は正確には把握していないので、答えが聞けるまでにかなり気まずいプロセスを経る必要があります。

そこで今回は、スーパーで買える無添加パンや、パン屋さんのパンの添加物度の見分け方を紹介します。

添加物少なめパンはパスコの超熟

スーパーに置いてある中で添加物少なめのパンメーカーといえば、「Pasco(パスコ)」です。特に、「超熟」というシリーズが無添加パンです。

ヤマザキとの原材料比較

パスコの「超熟」シリーズの食パンと、ヤマザキの食パン「ロイヤルブレッド」の原材料を比較してみました。

パスコ・超熟小麦粉(国内製造)、砂糖、バター入りマーガリン、パン酵母、食塩、米粉、醸造酢、(一部に小麦・乳成分を含む)
ヤマザキ・ロイヤルブレッド小麦粉(国内製造)、糖類、バター入り小麦粉調製品、マーガリン、パン酵母、食塩、発酵種、脱脂粉乳/乳化剤、イーストフード、V.C、(一部に乳成分・小麦・大豆を含む)

パスコの超熟は、原材料が食品のみなので無添加パンですね。

一方、ヤマザキ・ロイヤルブレッドには乳化剤やイーストフードなどが入っています。

そのほか、パスコは「砂糖」を使っているのに対してヤマザキは「糖類」、パスコが「バター入りマーガリン」を使っているのに対してヤマザキは「バター入り小麦粉調製品」を使っているという違いがあります。

糖類というのは、果糖ぶどう糖液糖などのことでいくつか種類があります。一見似たような感じに見えますが、一般的に「砂糖」より「糖類」の方が安くなっていますので、原材料のいろいろな部分で細かくコストカットしていることがわかります。

商品によっては添加物あり

パスコは、「添加物を極力使用せず、おいしく食べられるパン」の開発に取り組んでいるそうで、無添加パンも売っています。

「超熟」シリーズではイーストフード(発酵を良くするもの)、乳化剤(水と油を均一に混ぜ合わせ安定化させるもの)を入れない製法の開発に取り組み、実現したそうで、食パン以外の製品にも入っていません。

一方、超熟シリーズ以外には結構添加物が入っています。

スーパーでよく見るものだと、「十勝バタースティック」や「くるみブレッド」がありますが、添加物はそこそこ入っています。

十勝バタースティック小麦粉(国内製造)、バターフラワーペースト、糖類、マーガリン、パン酵母、ファットスプレッド、食塩、乳等を主要原料とする食品、醸造酢、卵、加工油脂/加工デンプン、乳化剤、香料、増粘多糖類、イーストフード、pH調整剤、ビタミンC、着色料(カロチン)、酸化防止剤(ビタミンE)、(一部に卵・小麦・乳成分・大豆を含む)
くるみブレッド小麦粉(国内製造)、くるみ、糖類、バター入りマーガリン、はちみつ、パン酵母、小麦たんぱく、食塩、醸造酢/増粘剤(アルギン酸エステル)、加工デンプン、(一部に小麦・乳成分・くるみを含む)

くるみブレッドは、他社の同様の商品と比べると添加物は控えめですが、十勝バタースティックは結構がっつり入れていますね。

無添加パンを食べたい人は、「パスコ」ブランドではなく「超熟」ブランドで探した方がいいでしょう。

トップバリュにも添加物パンあり

トップバリュも無添加パンを取り扱っています。

普通のパンは、トップバリュブランドで売っているだけでヤマザキ製造なので、添加物の使いっぷりもヤマザキ風です。

しかし、添加物やマーガリンなど特定の材料を使用していない「Free From(フリーフロム)」というラベルのついたパンは無添加となっています。

「Free Fromオリーブオイルを使った パン・ド・ミ山型 3枚スライス」の原材料はこのようになっています。

小麦粉(国内製造)、砂糖、オリーブ油、食塩、パン酵母、発酵風味料(小麦・乳成分を含む)、小麦たん白

無添加な上、健康に悪いといわれているトランス脂肪酸を含むマーガリンも使用されていません。

お値段は181円です。トップバリュにしては高いですが、そこまででもないので日常的に買いやすいかもしれません。

セブンイレブンの金の生食パン

スーパーではないのですが、セブンイレブンの金の生食パンも無添加です。原材料はこのようになっています。

小麦粉(国内製造)、砂糖、クリーム(乳製品)、バター、発酵種、パン酵母、食塩、(一部に乳成分・小麦・大豆を含む)    

生クリームが入っているので、普通の食パンとは違う食感がします。

お値段は1つ375円なので、結構高級な食パンですね。少し高めのチェーン店のドンクの食パンと同じくらいです。

高くてもいいので生感がほしい方におすすめです。

パン屋さんのパンは無添加?

パン屋さんのパンには原材料表示が基本的にないので、無添加かどうか判別がつかずに困りますよね。

さらに、パン屋さんのパンが無添加かどうか判断するには、ほかにも難しい問題があります。

パン屋さんのパンが無添加かどうか考えるポイントは次の3つです。

①フィリングが無添加かどうか

②生地が無添加かどうか

③袋入り製品の添加物を確認する

フィリングが無添加かどうか

無添加かどうかお店の人に聞けばわかるはず、と思うかもしれませんが、実はかなりわかりにくいのです。

基本的にパン屋さんは製造の人と販売の人がわかれているので、販売の人に聞くと、「えっと、、、わかりません」という反応になります。

次に販売の人が製造の人に聞いてくれると思うのですが、製造の人でもわからないです。パンにはいろいろな具が含まれますが、それは「フィリング」と呼ばれる既製品なことが多いからです。

フィリングの中に添加物が入っていれば無添加ではないので、厳密に添加物が入っているかどうか調べるには、店長さん相当の人に発注書を見てもらってフィリングのメーカーが公表している添加物を見るしかないのです。

パン用ではないですが、たい焼き用として売られているフィリングの原材料を見てみると、かなり添加物が入ってしまいます。

植物油脂(国内製造)、水あめ、砂糖、脱脂粉乳、乳蛋白、全卵、小麦粉、洋酒、食塩/加工澱粉、グリシン、香料、保存料(ソルビン酸)、増粘膜多糖類、着色料(紅花黄、カロチン)、酸味料、(一部に乳成分・卵・小麦を含む)

添加物を気にしている人にとっては気になるところかと思うのですが、フィリングの添加物までお店の人に聞いてしてしまうとかなり怪訝な目で見られてしまう可能性がありますので、やめておいた方が無難です。

完全な手作りパンにするには、クリームパン用のカスタードクリームを鍋で作ったり、ポテトをつぶすところから始めてコロッケパンを作ったりする必要がありますが、それは現実的に難しいですよね。

なので、パンの具材はほとんどが既製品になります。それが無添加かどうかは、具材のパッケージを見ないとわからないのですが、見せてもらう難易度は高いです。

そのため、具材の添加物については、「高いパンのお店はフィリングも変なものが入っていないのを使っているだろう」と信じて高めのパン屋さんで買うしか対策がありません。

生地が無添加かどうか

お店で粉から焼いているパンの場合、基本的に生地自体に添加物はそこまで入っていません。

しかし、お店で焼いているパン屋でも、実は2種類あります。

①工場で作り、冷凍したパンを焼いているだけの店(焼き立てパン)

②粉からパンを作っている店(自家製パン)

この中間で、生地のみ工場で作ったものを使い、仕上げは厨房でやるなど様々な形がありますが、ざっくり分けるとこの二つです。

このうち、粉からパンを作っている店は、「スクラッチベーカリー」と呼ばれます。

別の店で作ったパンを店頭に並べていて、そもそも調理施設のないお店もありますが、一見お店で焼いているように見える①と②の違いは、ぱっと見た感じではわかりませんよね。

粉から作っている場合、アルバイトも含めた職人さんが手作りしていますので、あまり添加物は入らない傾向があります。

しかし、工場製の生地を購入した場合、がっつり添加物が入っています。パスコが業務用に販売しているパン生地の原材料はこのようになっています。

小麦粉(国内製造)、ぶどう糖果糖液糖、パン酵母、砂糖、ショートニング、卵、乳等を主要原料とする食品、マーガリン、食塩、加工油脂、麦麹粉末/乳化剤、増粘剤(ペクチン、アルギン酸エステル)、香料、酒精、ビタミンC、酵素、酸化防止剤(ビタミンE)、着色料(カロチン)、(一部に卵・小麦・乳成分・大豆を含む)

添加物を入れないのは超熟シリーズだけで、ほかはがっつり添加物入れる会社なんですね(笑)

生地から手作りしていますか?というのもパン屋さんに直接聞くと場が凍りそうな質問です。しかしこれに関しては、厨房をのぞき込めばだいたいわかります。

パン屋さんは、基本的に午前中中心でパンを焼きます。午後はもう作業台がきれいに片付けられていることが多いので、作業台の上に何も乗っていないこともあります。そのため、作業台に何もないからといって生地は工場製とは限りません。

しかし、売っているパンに対してあまりに作業台や作業スペースが狭いと、途中の工程のいくつかを工場でやったものを使っている疑惑が高まります。午前中に退勤している可能性もありますが、少なくとも朝は複数のパン職人さんが作業する必要がありますので、ちゃんと作っているとそれなりのスペースが必要になります。

一方、工場で加工までされたパンをただ焼くだけなら、狭い作業台とオーブンがあればできます。

生地玉を購入して、成形などはお店でやっている場合は広さだけではわかりにくいかもしれませんが、その場合、小麦粉の袋や粉を混ぜるための大きな機械があるかどうかで判定できます。機械は製品によって異なると思いますが、基本的には「大きなボールのような容器と、攪拌できそうな棒のようなものがついている機械」になります。

厨房施設がそもそもないお店もありますが、そういうお店は立地の都合で「焼き立て」すらもあきらめた特殊なケースなので、どちらの場合もありえます。工場から運んでいる場合もありますし、近隣店舗で手作りして運んでいる場合もあります。

袋入り製品の添加物を確認する

私がパン屋さんを選ぶとき、フィリングに関しては「値段が高い店はいいフィリングを使っていると信じる」、スクラッチベーカリーかどうかは厨房を見て推測する、というやり方にしているのですが、それに加えてもう一つ判断材料があります。

原材料表示のないパンがメインのお店でも、食パンやラスクみたいな乾物商品は原材料表示入りの袋に入っています。サンドイッチにも原材料表示がついています。

これらを確認することで、お店の全体的な添加物の使用度合を推測することができます。

スクラッチベーカリーがおいしい理由

スクラッチベーカリーに分類されるお店のパンを食べてみると、確かにおいしいです。というか、ある程度以上の価格帯のパン屋になると、ほとんどスクラッチベーカリーになります。

高めのパン屋さんでよく見かけるお店には、PAUL、メゾンカイザーなどがあると思いますが、どちらもスクラッチベーカリーです。この2店ほど高くはありませんが、ドンクもスクラッチベーカリーです。

スクラッチベーカリーがおいしく感じる理由はなんなのでしょうか?

冷凍生地で味が落ちる

スクラッチベーカリーではないパン屋さんの場合、生地は冷凍のものになります。

グルテンが破壊されるとか、酵母が死ぬとか、やはり冷凍生地には悪影響があるようです。

普通の食品でも、冷凍と作りたてを比べるとやはり味が落ちてしまいますので、冷凍の影響は大きいと思います。

全体的な原材料の質の違い?

工場でパンを作ることが主流になってしまった現代では、スクラッチベーカリー=高いパンと言ってもいいくらいですので、パン生地や具の原材料に高級なものを使用していることや、職人さんの技術が高いことでおいしく感じている可能性もあります。

業務用生地玉の原材料を見てもわかる通り、砂糖をぶどう糖果糖液糖に変え、バターをマーガリンに変え、、、と、さまざまな部分を安い材料に変えてコストカットしています。

小麦粉(国内製造)、ぶどう糖果糖液糖、パン酵母、砂糖、ショートニング、卵、乳等を主要原料とする食品、マーガリン、食塩、加工油脂、麦麹粉末/乳化剤、増粘剤(ペクチン、アルギン酸エステル)、香料、酒精、ビタミンC、酵素、酸化防止剤(ビタミンE)、着色料(カロチン)、(一部に卵・小麦・乳成分・大豆を含む)

ジャムの話ではありますが、東洋経済オンラインに掲載された、「平気で「ジャム」を買う人が知らない超残念な真実」という記事がおもしろかったです。

この記事では、「イチゴ」「グラニュー糖」「レモン汁」の3つだけで自宅でも作れるはずのジャムに添加物が入っている理由について、安い材料で置き換えていくから添加物が増えるのだと解説しています。

【添加物による置き換え①】イチゴを減らした分「固さ」「とろみ」が足りないから、「ゲル化剤(ペクチン)」「増粘多糖類」を加える

【添加物による置き換え②】イチゴを減らした分「酸味」が足りないから、「酸味料(クエン酸)」を加える

【添加物による置き換え③】砂糖を減らした分「保存性」が失われるから、「pH調整剤」を加える

パンも、安い原材料に置き換えれば置き換えるほどおいしくなくなっていくのではないかと思います。

パン屋さんにも種類がある

スーパーのパンはパスコの超熟シリーズくらいしか添加物に気を付けているものがないので、パン屋さんのパンを買うことが多いです。

しかし、パン屋さんといってもいろいろあります。

個人でやっているお店のうち、こだわり感のあるところは、特にアピールしていなくてもスクラッチベーカリーのことが多いです。店内が見やすいお店が多いので判別がつけやすいです。

一方、スーパーに併設されているパン屋工場製のパンを焼いて出しているだけのところが多いようです。基本的に原材料表示はついていないですが、たまについているタイプのところもあり、添加物の多さに驚きました。(子供がほしいと言うのでたまに買ってしまいますが、、、)

焼いたら菓子パンや総菜パンになるタイプの生地を使っているので、お店同士で商品がかぶることもあるようです。

出典)パスコ

お値段高めのデパートに行くと、スクラッチベーカリーばかりになります。

デパートでも全体的にちょっと安めのところは、スクラッチベーカリーではなさそうに見えるお店が多くなります。

パンの中に何が入っているかというのはとても分かりにくいため、最終的には値段を信じて買うしかない感じはあります。