自然派志向の人の中でもごく一部の人が気にしているだけなのであまり耳にしないと思いますが、牛肉は環境負荷が高い食品だといわれています。
同じ重さの肉を生産するのに、牛肉のほうがより多くの二酸化炭素が排出され、農地の使用面積や必要な飼料も多くなるからです。
また、農地や飼料に関しては値段にも影響してきます。「育てる効率が悪い」ので結果としてお値段が高くなってしまうのです。自然派志向の人は動物の飼料も、ホルモン剤無添加・国産飼料を希望する方が多いので、もともとお高い牛肉がさらに高くなってしまいます。
ガチ自然派家庭だった私の実家では、牛肉はほとんど食卓に出てきませんでした。
この記事では、牛肉をあまり食べない自然派家庭がある理由や、高級牛肉は価格に見合う価値があるのかについて考えてみます。
自然派家庭で牛肉が食べられない理由
無添加ママだった母親に、小学生のときなぜ我が家では牛肉を食べないのかについて聞いてみたところ、牛肉の環境負荷が高いことと、魚の栄養の方が好ましいということを聞きました。
また、大人になってから自分で料理をするようになったところ、安い輸入牛肉はまずい、高い国産牛肉は本当に高いということも原因としてあるのではないかと思うようになりました。
- 牛肉は育てるのに膨大な飼料が必要となり、効率が悪い
- 欧米型の食生活が健康を損なっているので魚を中心にすべき
- 安い輸入牛肉はまずい
牛肉の価格はなぜ高い?
牛は鶏や豚と比べて、長い期間育てなければ食用にできるまでに育ちません。また、体重を1キロ増やすのに必要な飼料という観点からも鶏や豚と比べて効率が悪いそうです。
例えば世界が食糧危機になったら、牛にあげている飼料をそのまま食べればより多くの人の食糧をまかなえるわけで、そういう意味で牛は効率が悪いということですね。
飼育の効率が悪いから牛肉の値段が高くなるわけなのですが、鶏や豚と比べてもえげつない値段になるのです。鶏や豚であれば、どちらもスーパーの製品も国産中心なので、生協などの飼育方法にこだわった商品と比べても、値段の差はそこまで大きくありません。
しかし、牛になるとスーパーのものは安いアメリカ産やオーストラリア産が中心なので、さらに飼育方法にもこだわると、価格差は大きくなっていきます。
生協(生活クラブ)の牛肉と、ネットスーパーのライフの牛肉を比較してみると、倍以上の差がついていました。
商品 | 生活クラブ | ライフ |
牛こま切れ(100グラムあたり) | 482円 | 203円 |
これは、、、なかなか買えないですね。買い物は基本的に生協でする私は、牛肉の価格は100グラム400円という認識なので、そもそもほぼ牛肉を買いません。
魚の方が健康的
肉中心の欧米型の食事が健康にあまりよくないというのは、人種差別などではなくて、欧米メディアでも取り扱われています。
CNNにもこのような記事が掲載されていました。「欧米型の食生活、前立腺がんの死亡リスク2.5倍に 米研究」
そのため、一部の自然派家庭では「なるべく魚を食べる」という方針になっているのです。
肉と魚には優劣はつけられないという考え方の人もいますが、特に青魚に多く含まれるDHAなどはコレステロールを下げる効果がありますので、コレステロールの面では魚の方が優れていますね。
また、肉は外食や給食などで口に入りやすいですが、魚の方は意識的に食べるようにしないとなかなか食べる機会がなかったりするので、その点でも自然派家庭のメニューとしては魚の方が好まれます。
安い輸入肉はまずい
豚肉・鶏肉はスーパーで売っているものもほぼ国産なので、「外国産がまずい」という話はあまり聞きませんが、牛肉に関しては「外国産牛肉がまずい」という話をよく聞きます。
単純に国産牛肉がおいしい、外国産牛肉がまずいというわけではなくて、外国産牛肉は品質がピンキリなことが理由のようです。
スーパーで安く売られている輸入牛肉の中には非常に質の低いものもありますが、牛の飼育にあまり向かない日本でがんばって作った国産牛肉はどの商品もある程度の品質が確保されている、という理由で国産牛肉の方がおいしく感じられるのだと思います。
実際私も、輸入牛肉の中には明らかにおいしくないものが含まれていると感じます。
結構当初夫が牛肉が好きだというのですが、生協の国産牛肉は気軽には買えないお値段だったので、スーパーで安いオーストラリア産牛肉を買ってみたのですが、ゴムみたいな食感で全くおいしくなかったです。それ以降スーパーの輸入牛肉は一度も買っていないくらいまずかったです。
おいしい牛肉はとても高い、安い牛肉はまずい、となると、牛肉をあえて食べる必要性を感じなくなってしまいます。
高級牛肉には見合う価値がある?
普段はほとんど牛肉は食べなかったのですが、去年の年末、魔が差してふるさと納税で高級牛肉を買ってみました。
400グラム程度のお肉が年6回届くコースが10万円の、「【肉の定期便 偶数月×6回】極上の佐賀牛 食べ比べ」です。
400グラム5000~1万円の高級牛肉
このコースでは、毎回400グラム程度のお肉が届きます。
内容 | 量 |
佐賀牛の厚切りサーロインステーキ | 200グラム×2枚 |
佐賀牛ハンバーグ | 150グラム×4個 |
佐賀牛モモステーキ | 200グラム×2枚 |
佐賀牛カルビ焼肉 | 400グラム |
佐賀牛肩ロースしゃぶしゃぶ・すき焼き用 | 400グラム |
佐賀牛ローストビーフ(もも) | 400グラム |
10万円を6回で割れば1回あたり1.6万円ですが、ふるさと納税なので、1.6万円払っているからといって通常価格が1.6万円の商品が届くわけではありません。かなりの部分が市町村の財源になりますので、価値としてはもっと低い商品が届きます。
ふるさと納税には批判もありますが、是非はさておき、「還元率」は基本的に3割以下になるそうです。なので、400グラム1.6万円のお肉であれば、最大でも約5,000円の価値ということになりますね。
同種の商品を検索して値段を確認することでも、だいたいの還元率がわかります。今回、ランクとしては、特Aの佐賀牛だそうです。同じグラム数の商品が11,000円で販売されていたので、今回のふるさと納税のお肉も、5,000円よりは高価なものになるのかもしれません。
400グラムが5000円から1万円の範囲内と想定して食べてみます。
霜降りの脂は実はいい脂
全6回の初回に配達された佐賀牛の厚切りサーロインステーキを食べてみました。確かに誇張ではなくて厚いです。
焼いても厚さはほぼ変わらずでした。
見るからに脂の量が多いです。
こんなの絶対不健康だと思いましたが、国産のブランド牛は、コレストロールを下げる効果のある不飽和脂肪酸(魚と同じ)の比率が多く、そこまで健康に悪くはないそうです。
しかし、いい脂だとしても、体感の脂っこさはかなりあります。50グラムぐらい食べた段階でこれ以上はもういらないという気分になりました。
コスパがいいとは思えない
高い牛肉になればなるほど霜降りになりますよね。でも、体感かなり脂っこいですから、赤身の方が好きという人もいます。
私も赤身派なので、個人的には、お値段的にはかなり安くなるいきなりステーキの脂少なめのお肉の方がおいしいと感じます。
また、高級肉を買うにしても鶏肉にすれば、同じお値段でかなりの量が食べられます。
高級鶏肉としては「比内地鶏」が有名ですが、高級牛肉と比べるとかなりお安く購入できます。
あえて牛肉を食べなくてもいいのでは?
高い牛肉のコスパが悪いのは当然なのですが、安い牛肉のコスパの悪さも相当なものなのではと感じています。
サイゼリヤで一番高いメニューといわれるリブステーキ(1000円)を食べてみたことがあるのですが、おいしくなかったです。
出典)サイゼリヤのメニュー
まずいという口コミが多いようです。
まずくはないと言っている人も、「値段を考えると」おいしいという人が多いので、やはり微妙だと感じる人が多いのではないかと思われます。
1000円とはいえ、お金を払ってまずいものを食べる意味もないですよね。
牛肉は、食べて満足するコスパになっていることが少ない食べ物という印象です。もう一生食べなくていいんではないかと思っているくらいです。