クレープやケーキの上についている白いクリームのことをなんと呼びますか?
「生クリーム」だと思った方は、間違っているかもしれません。
「生クリーム」でなければなんなの?と思った方は、クレープ屋さんのメニューをじっくり見てみてください。
「生クリーム」ではなく「ホイップクリーム」と書いてあるはずです。
今回はこのナゾについて紹介します。
自然派は「動物性」を指定してくる
自然食信仰の強い筆者の母は、誕生日やクリスマスのケーキも手作りしてくれました。液体の生クリームを泡立てて、ケーキの上に塗れるクリームにするのです。
手作りの生クリームケーキは正直おいしくなくて、お店のものが食べたいといつも思っていました。
普段の食品はすべて生協で購入していましたが、生クリームだけは筆者がお使いでスーパーに買いに行っていました。
その際毎度必ず言われたことがあります。
「クリームには植物性と動物性があるから。必ず動物性の、一番高いやつを買ってきてね」と、、、。
植物性と動物性とは
自然派食品信仰の強い方は、どちらかというと肉より野菜を重視する傾向があるように感じます。古来からの食事と比べると、現代人は肉を食べ過ぎて野菜が少ないということも関係しているのかもしれません。
なので、このとき動物性を指定されたのは、普段と違ったので疑問に思った覚えがあります。
動物性と植物性の違い、そして動物性の方が好まれる理由は、作り方の違いにあります。
昔からあるのは動物性の生クリームの方で、植物性のクリームはそれに似せて作られた商品です。パーム油や菜種油といった、揚げ物に使われるような油を無理やりクリーム状に加工したもので、価格はかなりお安くなっています。
加工の際に「トランス脂肪酸」という健康に悪い物質が発生するので、体に良くないとされているのです。
タニタも炎上
2015年に、タニタの関連会社がツイッターで「生クリームは食べるプラスチック」と発言して大炎上したそうです。
「生クリーム」というと安全性に問題のない動物性油脂の方を指しますので、発言としては確かに間違っています。筆者は当時ネットニュースでタイトルだけ見て、「植物性油脂を加工したホイップクリームに含まれるトランス脂肪酸」の問題だと認識してしまったので、炎上していること自体は詳しく知らず、その後クレープを食べる際には、「ちょっとプラスチック食べてくる」と冗談を言っていました。
液体の石油に化学的処理を加えてを固体に変質させるのがプラスチック製品。液体の植物性油脂に化学的処理を加えて固体(泡立て済みのホイップクリーム製品も液体として販売されるようですが、見た目は固体っぽいです)に変質させるのがホイップクリーム。そして、両方とも食品に適さない危険性のある物質が含まれる。
という解釈をすれば「プラスチック」扱いをしてしまう気持ちも少しわかります。
ちなみに筆者はクレープ大好きでよく食べています。トランス脂肪酸の問題があるので、食べ過ぎないように自戒を込めて「ちょっとプラスチック食べてくる」と言っています。
厚生労働省のサイトによると、1日あたり2グラムなら食べていいそうです。
WHO (世界保健機関)は、心血管系疾患リスクを低減し、健康を増進するための勧告(目標)基準として、トランス脂肪酸の摂取を総エネルギー摂取量の1%未満に抑えるよう提示しています。(中略)なお、総エネルギーの1%のトランス脂肪酸の量は、年齢、性別などにより異なりますが、1日当たり約2グラムに相当します。
ちなみに、植物油脂100グラムあたり平均1.395グラムのトランス脂肪酸が含まれるそうなので、クレープを食べたくらいではこの2グラムの枠は消えません。しかし、自分の健康のことですから、「枠ギリギリまでOK」ではなくてなるべく少なく、と考えた方がいいのではと思います。
価格の違いは大きい
クレープなどに植物性が使われる理由は、単純に原価の問題だと思われます。同じ雪印メグミルク、同じスーパー(イオン東北ネットスーパー)で比較しても、このように値段が違います。
商品名 | 価格 |
雪印メグミルク ホイップ 植物性脂肪40% 200ml | 181円 |
雪印メグミルク フレッシュ 北海道産生クリーム使用 200ml | 321円 |
これがクレープの価格に転嫁されると、かなり価格が上昇してしまいます。また、そもそもクレープ屋さんは、すでに絞り袋に入った既製品のクリームを使っています。この既製品クリームが植物性か混合ですので、必然的に市販のクレープもそうなってしまうのです。
見た目でわかるの?
クレープ屋さんのクリームは植物性なのか動物性なのかといえば、市販のクレープはほぼ全て植物性か、混合のようです。このような、メーカー名が入った既製品のホイップクリームの絞り袋を使っているお店が多いですが、こういう製品にほとんど植物性油脂が含まれているからです。
生クリームを使っている店が少ない
動物性の生クリームは、母親お手製の、泡立ちが足りてないおいしくないものしか食べた経験がありませんでした。そのため、どれが植物性でどれが動物性なのかいまいち違いがわかっていなかったのですが、「生クリーム専門店ミルク」のクレープを食べてみたところ、クリームがふわふわで、たくさん食べてももたれる感じがあまりしなかったです。
これが生クリームかぁ、、、と思いわかった気になったのですが、似たような食感のした「Eggs ‘n Things」のパンケーキの上に乗っているクリームは、混合らしいのです。
公式サイトには書かれていなかったので口コミ情報ですが、「スプレーホイップ」という方法を使うと生クリームの原料がなにかにかかわらずこんな感じになるんだとか、、、。
ただ、違いを感じる人もいるようです。
「Eggs ‘n Things」はハワイに本店がありますが、ハワイで食べたことがある人が、「植物性生クリームの味」がすると食べログにコメントしています。
食べ比べて原材料を当てるチャレンジをよくしている筆者ですが、「長年にわたり食べてきたもの」でないとなかなか難しいので、純生クリームを食べる機会がほとんどない日本在住の人にとっては、判別は難しいのではないかと思います。
都内で生クリームのクレープ店を探してみた
原価の違いから、ほとんどのお店は植物性か混合のホイップクリームを使っているようです。しかし、東京都内にはわずかですが生クリームのクレープ屋さんがありました。
予想通りお高いお値段となっています。
ちなみに探し方なのですが、「生クリーム」で検索してしまうと、クレープに入っているものが生クリームだと勘違いしている一般の方の口コミなどもひっかかってしまうため、「自家製 生クリーム 地名」で検索するのがおすすめです。
パーラ
PARLA(パーラ)は、メニュー名に堂々と「生クリーム」と書けるクレープ屋さんです。おしゃれな店がずらりと並ぶ表参道近くにあるお店で、安いものでも安くても800円、高いものは2000円の高級クレープを販売しています。
公式サイトに大きく載っているクレープもいかにも高そうですね。
生クリーム以外の素材にもおそらくこだわっていますので、高級クレープを食べてみたいかたは、このお店に行ってみるのがいいでしょう。
生クリーム専門店ミルク
動物性生クリームのみ体験できればいいという方は、「生クリーム専門店ミルク」がおすすめです。生クリーム「だけ」でフルーツなどは入っていませんが、500円で食べられます。
出典)生クリーム専門店ミルク公式サイト
また、チェーン店なので都内2か所と大阪・愛知で食べられます。
都道府県 | 店名 |
東京 | ソラマチ店 |
東京 | 北千住店 |
大阪 | 茶屋町ファクトリーカフェ店 |
愛知 | 名古屋パルコ店 |
以前は立川店もあったのですが、残念ながら閉店してしまいました。筆者は立川店で食べたのですが、いつ見ても席がガラガラで、、、。
植物性と動物性の原価の違いを知らない人から見ると、クリームだけで異様に高いという感想になってしまうのかもしれません。
and EATS
東京都府中市・調布市・稲城市と、エリアが偏っていますが、and EATSというお店も、生クリームのクレープを販売しているそうです。生クリームたっぷりでおいしそうですね。生クリームだと、クリームがふわふわしていて、たくさん食べたように見えても胃もたれしずらいので、最後までおいしく食べられそうです。
出典)and EATS
たまにならいいのでは?
生クリームのクレープが食べたい!値段が倍でも出す!と思っても、そもそも近場のお店に選択肢がほとんどない状態ですから、妥協して植物性生クリームのクレープを食べるしかないわけです。筆者の実家のように生クリームすら液体から泡立てて作たり、そもそも食べないという方法もありますが、クレープが好きなら食べたいですよね。
ちなみに、筆者はトランス脂肪酸は食べたくないがクレープは毎日食べたいと思い、「電子レンジで作れるクレープキット」を買ってみたことがありますが、これはパリパリ感がないのでおいしくないです(笑)
その後、「たまにならいいのでは?」という結論になり普通にクレープは食べていますが、トランス脂肪酸の問題以前に生クリームが胃もたれする年齢になってしまったため、なるべくカスタードクリームやおかずクレープ、クリームなしのシンプルなバタークレープなどを食べています。
パンにマーガリンを塗らない、バター使用のパンを買う、などほかの方法でトランス脂肪酸を減らし、クレープは食べるという方法もあります。自分に合った妥協方法を見つけてみてください。