生協は共産党系の団体なの? 利用者の立場で考えてみた

「生協は共産党系の団体」という話がたまに出るようですね。

引っ越しが多かったので全国様々な生協を利用してきた筆者ですが、公式につながりが示されたのを見たことはありません。

多くの生協が反原発を掲げており、集会のお誘いビラが入っていたりもするので、ぱっと見た感じ「共産党っぽい?」という雰囲気は確かに少し感じます。

しかし、反原発=共産党というわけではないですし、仮にそういう傾向があったとしても、実際利用する上で困ったことは起きません。

今回は、生協は共産党系の団体なの?という疑問について紹介します。

活動理念が似ている部分はある

共産党は労働者のための団体、生協は消費者のための団体、というのがざっくりとした区分ですが、労働者と消費者って、どちらも大企業ではないという点で層が似ていますよね。

そのため、重視しているものが似ている部分もあります。

また、生協にもいろいろあります。食品系の生協が有名なのでそのイメージを持つ方も多いと思いますが、大学生協や医療生協、共済生協などさまざまなものがあります。ここでは、食品系の生協の特徴について紹介します。

脱原発・平和活動

生協の活動理念としてよくある、生産者保護・環境保護・フェアトレード(発展途上国の生産者に、安く買いたたくのではなく適正な報酬を払う取り組み)は、食の安全から派生したものとして理解しやすいですが、それ以外にも、脱原発・平和活動などをやっている生協も多いです。

西日本を中心に展開するグリーンコープも、活動内容の一覧に脱原発と平和活動が入っています。「生命(いのち)・自然・くらし」を守るのがコンセプトだそうなので、この流れでこの2つが入ってきているようです。

グリーンコープ活動分野

原発由来の電力を排除した電気事業までやっているらしいので、本気ですね、、、。

首都圏を中心に展開するパルシステムも、トップページの「サステナビリティ」のメニューをクリックすると、脱原発と平和活動のメニューがあります。

そういう活動をしないといけないルールでもあるのか(笑)、脱原発と平和活動は「生協あるある」とも言えますが、しかし、それをどれだけ熱心にやるか、またどれだけ一般利用者の目につく場所でアピールするかは生協によって異なるようです。

ただ安心な食べ物が食べたい利用者からすると、一見関係が薄そうな主張をあまり増やしてしまうと、「どういう団体なの?」と思われてしまうリスクもありますしね。

脱原発・平和活動が多いのは、加入者、または実際に注文している人に子育て世帯の母親が多いということも関係しているかもしれません。筆者も子供を産んでから、事故リスクのある原発や平和活動についての関心は高くなりました。

他の共通点はなさそうだが、、、

脱原発・平和活動以外の、労働関係の活動はあまり見たことがありません。労働者と消費者は、かなりかぶっているとはいえ全く同じではありませんしね。

共産党の活動領域には脱原発・平和活動以外にもいろいろあるわけですし、2つだけかぶっているからといって生協と共産党のつながりがあるとは言えません。

しかし、少し気になる点ではあります。

グリーンコープの理念は、「生命(いのち)・自然・くらし」を守ることでしたが、他の生協も同じような理念を掲げていることは多いです。なので平和活動は一応関係があるとも言えますが、とはいっても、お金にならない平和活動にこれほど多くの生協が取り組んでいるというのは、かなり違和感があります。

やらなければいけないルールでもあるでしょうか? ここで、「生協職員に共産党支持者が多いためにやっている」説が出ると、信じてしまいそうになります。

支持者層の割合は比較的高いと思われる

生協に加入して、脱原発を真剣に考えている人がいたとして、そういう人たちの支持政党はどこになるか?と考えると、「それとこれとは別問題」として自民党を選ぶ人は少ないでしょう。

生協の利用者の中には、添加物がたくさん入った商品を販売する大企業のことを、「消費者に毒を食べさせている」と考えている人もいますから、大企業とのつながりが強いとされる自民党を選ぶ人は、一般社会よりも少ないと思われます。

そのような点を考えると、共産党や社民党を支持する人の割合は、一般社会よりも高くなってもおかしくありません。

ただ、そうであったとしても、現在は1棟ごとの個別宅配が多いですから、団体同士の正式なつながりがなければ、一般利用者には関係がありません。

実質的な影響はないと言える理由

自民党の神戸市会議員が、「共産系や過激派の影響下にある大学生協や医療生協等は複数あります。」と発言したことがあるそうです。

昔の大学では共産党の活動が活発に行われていましたので、大学生協が共産党とつながりがあるというのは、そういうこともありえるかもしれません。

生協というのは、一人ひとりが出資金を出し合って組合員となり、協同で運営・利用する組織のことなので、その大学の利用者が集まった生協と、安心な食品を食べたい消費者が集まった生協ではそもそもの設立経緯が違います。

筆者も内情を知っているわけではないので、100%つながりがないと言い切ることはできません。しかし、仮につながりがあったとしても普通に利用する分には影響はないでしょう。

生協法で政党への協力が禁止されている

消費生活協同組合法という法律の中に、「消費生活協同組合及び消費生活協同組合連合会は、これを特定の政党のために利用してはならない。」という一文があります。

これまで特定の政党を生協が公的に支持する内容を目にしたことはありませんでしたが、法律でも禁止されていたんですね。

そのため、少なくとも直接的な資金提供はないということになります。

何か勧誘される機会がゼロ

昔は近隣のいくつかの加入世帯が受け取り場所に集まって受け取る方式が主流だったので、生協を通じたご近所づきあいもあったようですが、今は1棟ごとの個別宅配が多くなっているので、誰ともかかわらず、ただ配達員さんから玄関で商品を受け取るだけです。

先ほど、共産党や社民党を支持する人の割合は、一般社会よりも高くなってもおかしくないとコメントしましたが、そうであっても関わり合いがそもそもないので、わずらわしい勧誘をされることはないのです。

ちなみに配達員さんも無駄話はしません(笑)

紙で注文用紙を受け取っていたころは、反原発のビラなども入っていた記憶があるのですが、ウェブ注文のみでカタログ不要に切り替えてから、ビラも入らなくなりました。見たくなければ全く見ないということができるわけです。

価格は適正

生協の商品はスーパーのものより高いことが多いですが、高いのはやはり理由があるんです。

有機栽培の野菜はもちろん、ノンホモ牛乳、平飼い卵、ストレートジュースなど、コストがかかる製法を採用しているからこそ値段が高いという商品ばかりです。

某生協の資料を請求したら、「うちは宣伝コストを抑えているので、おいしっくすと同じ農家さんの野菜がより安く手に入ります」と宣伝されましたが、実際、条件をそろえて同種の製品と比較すると、生協以外のルートで売られている製品と同じ価格か、むしろ安いことが多いです。

例えば卵だと、平飼い卵であるかどうか、飼料が国産かどうかなどの条件までそろえると、似たような値段帯になっていきます。

総会にも出席できる

「共産党にお金が流れているなら生協はやめる」というコメントを見たことがありますが、無駄に高くしてその利益を共産党に流しているという心配は必要ないと思います。

先ほど書いたように、そもそも品質の評価以上に高いということはないですし、生協は消費者が自分たちで作る組織なので、何か疑問があれば運営に参加して確認することもできます。

お金の流れは一般の企業と同様に決算報告が出ていますが、決算報告などを行う総会にも、立候補して選挙で選ばれれば参加することができます。

面倒なことはせずに商品だけ買いたいと思う人がほとんどではないかと思いますが、毎年、総会に出席する人を選ぶ選挙が行われていることが多いです。

関東を中心に展開するパルシステムの選挙システムを見てみると、かなりなりやすそうです。

まず立候補は、同一家計以外の誰かの推薦があればOKで、1つの市からだいたい5名くらい選出されます。なりたい人が少ないですから、立候補者が少なすぎて選挙なしで当選ということもあるそうです。

このように組合員のための組織というのが建前なので、こっそり共産党にお金を流していたら大問題です。

他の方法もあるけど、、、

生協で売っているような自然派の食品は、生協以外では手に入りにくいものが多くなります。

他の選択肢もあるにはあります。例えば、少しこだわり度が下がってもいいならトップバリュの特定のマークの製品やライフのビオラルブランドの製品で代用できます。また、手間がかかってもいいなら、ハムや野菜などジャンル別に専門店の通販を利用する方法があります。

ライフの自然派ブランド「ビオラル」とは? 生協と比較してみた無添加ポテチを探していたときに見つけたのですが、大手スーパーの「ライフ」には、自然派プライベートブランドの「ビオラル」があるらしいのです...

全体的に割高なのが気にならないなら、おいしっくすでも代用できます。

しかし、やはり自然派の食品を買うなら一番生協が使いやすいです。

生協でも、個別宅配を選べば組合員つながりでなにかに勧誘されることはないわけですし、共産党に資金がわたる可能性が完全に否定できないなら嫌という方以外は、気にすることなく利用して大丈夫だと思います。