トップバリュの自然派製品とは? 生協の製品と比較してみた

家の近所にイオン系のスーパーがあるのでたまに利用しているのですが、自然派の人が大好きな無塩せきのウインナーが売っていて驚きました。

無塩せきのウインナーというのは、発色剤として「亜硝酸ナトリウム」という毒性のある物質を使用していないものことです。スーパーに売っているウインナーではほぼ使用されているので、無塩せきウインナーの入手ルートは主に生協でした。

それが、大手スーパーに売っているのです。

調べてみると、イオンのプライベートブランドである「トップバリュ」には、無塩せきウインナー以外にもさまざまな自然派的な商品があることがわかりました。

しかし、比較的価格を抑えて販売しているようなので、品質の方はどうなのでしょうか? この記事では、トップバリュの自然派商品について紹介し、生協の製品と比較してみます。

トップバリュグリーンアイとは?

トップバリュには以下の4つのマークがあります。

自然派商品は、主に健康と環境を重視した「グリーンアイ」に含まれることが多いようです。グリーンアイはさらに、以下の3つのジャンルに分けられます。

トップバリュのグリーンラベル

出典)トップバリュ公式サイト

簡単に言うと、グリーンアイオーガニックが農産物とその加工品、グリーンアイナチュラルは水・畜産物、グリーンアイフリーフロムが、添加物不使用の製品です。

グリーンアイオーガニック

グリーンアイオーガニックには、農産物と加工食品の二つのジャンルがありますが、なんと農産物ではすべての商品が有機JAS認証を取得しているそうです。

化学的に合成された農薬や化学肥料に頼らずに、遺伝子組換え技術を利用せず、環境への負荷をできるだけ減らして作られたことを表す有機JASマーク。グリーンアイオーガニックの商品全てが、この有機JAS認証を取得しています。

加工食品については、この有機JAS認証を受けた農産物を原料とするもの、またはアメリカやヨーロッパのオーガニック認証マークが付いているもののみを取り扱っているそうです。

グリーンアイナチュラル

天然の水産物は自主検査で有害物質のチェックを行い、養殖の水産物は無投薬で育てているそうです。また、畜産物は飼料にこだわり、抗生物質、抗菌剤などの動物医薬品を使わずに飼育しているそうです。

グリーンアイフリーフロム

イオンが指定した109種類の添加物や原材料に配慮した製品がグリーンアイフリーフロムに区分されるそうです。英語で「free from 〇〇」と書くと、〇〇不使用という意味になるのですが、それが由来のようです。

トップバリュ・フリーフロムの添加物

出典)トップバリュ公式サイト

以前はグリーンアイの緑のマークで販売されていましたが、現在は紫のマークの普通のトップバリュブランドのマークで、別途「free from」のマークをつけて販売されています。

生協の製品との違いは?

普通のスーパーではあまり売られていないが、生協系では鉄板で売られている製品がトップバリュにあるか調べてみました。

平飼い卵

ケージで鶏を動けないようにして飼育し、卵だけ産ませるのが不自然という動物保護的観点、そして健康でない母体から産まれた卵は不健康な食品だという理由で、自然派の人からは、自由に動き回れるようにして飼育する「平飼い卵」が人気です。

この平飼い卵は、ピンクのマークのトップバリュの「平飼いたまご エイビアリー方式」と、グリーンアイオーガニックの「オーガニック 平飼いたまご」が販売されています。

ピンクのマークの方が値段が安いです。平飼いといっても「エイビアリー方式」というもので、多段式のケージで鶏を動けるようにしたものです。平らな場所で鶏が動けるようにするのと比べて、土地代がかからないのがメリットとされていて、その分値段も安くできるようです。

グリーンアイオーガニックの方は、平飼いであることに加えて、有機飼料を与えて育てているという特徴もあり、有機JAS認証を受けています。

現在は卵の値段が高騰している時期なので参考になりづらいですが、同じ6個の値段で比較すると、「平飼いたまご エイビアリー方式」は311円、「オーガニック 平飼いたまご」は645円と、2倍以上の差がついています。

卵の有機JASの取得は難しいらしく、このお値段帯で販売されていることから考えても、かなり本気の卵なのかもしれません。

しかし、有機卵を食べ続けてきた筆者の感想では、卵というのは高い・安いで味の違いが出にくい商品です。安いレストランで食事して、「このお肉おいしくないな」と思ったことがある人は結構いると思いますが、「この卵おいしくないな」と思った人は少ないのではないかと思います。なので、高いコストに釣り合う味を求める方には不向きかもしれません。

卵については、こちらの記事で紹介しています。

10個600円超の高級卵とは? 鶏の飼育法による値段の違いを紹介卵を産む鶏の飼育方法には、「平飼い」や「有精卵」があります。この違いや、値段の違いを紹介します。...

せっけんの洗剤

通常の洗剤には、「合成界面活性剤」という成分が使われていて、これが人体や環境に悪影響があることが懸念されています。そのため、生協ではせっけんを液体にした洗剤が売られています。

このせっけん洗剤はトップバリュにはありませんでした。その代わりに、「トップバリュ 7つの無添加 衣料用液体洗剤」が売られています。

こちらの製品は、合成界面活性剤は使われています。7つの無添加とはなんのことかというと、合成香料、鉱物油、合成色素、蛍光増白剤、パラペン、抗菌剤、漂白剤が不使用ということです。

無塩せきウインナー

無塩せきウインナーとしては、「Free From ポークあらびきウインナー」が販売されています。

無塩せきなので、発色剤の亜硝酸ナトリウムは使われていません。これ以外にも、抗生物質を使用せず飼育した豚の肉を原料にしているというこだわりがあるそうです。

しかし、お値段はお手頃にというのがトップバリュブランドの基本なので、アメリカ産豚肉が原料です。無塩せきを好む層は国産原料を好む傾向があるので、「アメリカ産豚肉の無塩せきウインナー」は初めて見ました。そういうところでコストカットをしているようです。

しかし、100グラム単位の価格で比較してみると、実は生協(生活クラブ)の無塩せきウインナーの方が安いのです。

メーカー 100グラムあたりの価格
トップバリュ 250円
生活クラブ 240円

こちらがトップバリュのウインナーの原材料です。

豚肉(アメリカ産)、豚脂肪、粉末水あめ、結着材料(でん粉、大豆たん白)、還元水あめ、食塩、かつお節エキス、香辛料、酵母エキス、玉ねぎエキス、マッシュルームエキス、たん白加水分解物(豚肉を含む)

一方、こちらが生協(生活クラブ)のウインナーの原材料です。結着材料は入っていますが、そのほかには基本的に余計なものは入っていません。また、お肉にはブランド牧場の平田牧場のものを使用しているそうです。

豚肉(国産)、結着材料(えんどう豆でん粉、でん粉(馬鈴薯(国産)))、食塩、砂糖、香辛料、ポークエキス、羊腸ケーシング

値段がむしろ高いことを考えると、トップバリュのウインナーを買うメリットはあまりないです。

ポテトチップス

普通のポテトチップスにはうまみを添加するために「アミノ酸」が使われています。一方、生協ではアミノ酸を添加しないポテトチップスが主流です。

アミノ酸を添加しないと、うすしお味は塩だけ、だし味などのほかの味は昆布だしなどの天然のだしのみを使用することになります。

トップバリュにも、「塩だけで味付けしたポテトチップス」が売られています。

原材料はシンプルで、こちらの3つだけです。

ばれいしょ(国産)、植物油、食塩

価格は60グラム78円(トップバリュ公式サイト価格)と、むしろ安いですよね。無添加ポテトに関しては、特に高価な製法を使っているわけではなく、ただ単に「他のメーカーが入れている添加物を入れない」というだけなので、お安く購入できるようです。

ちなみに、自然派ポテチ界では、健康に悪いとされているパーム油(表記は「植物油脂」のことが多い)の代わりに「コメ油」を使っているものが高級商品となりまます。

トップバリュは、コメ油ポテチまで用意しているそうです。「Free From 国産素材だけで作った こめ油で揚げたポテトチップス のりしお味」というもので、価格は「塩だけで味付けしたポテトチップス」と同じ78円(トップバリュ公式サイト価格)ですが、内容量が40グラムになっています。実質的にはかなりお高いですね。

じゃがいも(国産)、こめ油、食塩、焼きのり

自然派の方も納得するシンプルな原材料です。この商品は食べていませんが、たぶんあまりおいしくないです。同じ原材料の他社製品を食べてみましたが、やはり、ポテチに少量ののりをまぶしただけでは、のりの味を再現することには限界があります。その結果、「普通よりちょっと苦いしお味」になりがちです。

こちらの記事で詳しく紹介していますが、アミノ酸を添加しないとあまりおいしくは感じないです。アミノ酸は別に悪いものではありませんし、ポテトチップスに関しては、大手メーカーのものも含め、おいしさで選んだ方がいいのではないかと思います。

https://natural-food.site/%e3%81%be%e3%81%9a%e3%81%84%e3%83%9d%e3%83%86%e3%83%81/

ノンホモパスチャライズド牛乳

生協の鉄板商品は「ノンホモパスチャライズド牛乳」ですが、これはトップバリュでは取り扱いがないようです。

「ノンホモパスチャライズド牛乳」とは、乳脂肪の均質化処理(ホモジナイズド)が行われていないことと、低温殺菌(パスチャライズド)の二つが特徴で、普通の牛乳よりも牛乳の風味が強く感じられます。

ノンホモ牛乳はまずいの? 4種類飲み比べて検証「生活クラブの牛乳はまずい」のでしょうか?確かにまずくなることもありますが、生活クラブのせいというよりも、「ノンホモ牛乳」というタイプの牛乳の劣化が早く、消費期限内でもまずくなってしまうことが原因です。...

最初は確かに非常においしいのですが、消費期限内でも製造日から数日でどんどん劣化していくので、スーパーでの販売には向かないので作っていないのかもしれません。

天然にがりの豆腐

自然派的なお豆腐へのこだわりは、主に4点です。

・国産大豆・遺伝子組み換えなしか(有機栽培だとなおよし)

・天然にがりか

・消泡剤不使用か

・充填豆腐か

消泡剤不使用・充填豆腐かどうかなどの話になってくると細かくてあまり気にしなくてよいラインになってくるのですが、国産大豆・遺伝子組み換えなしか、天然にがりかは結構気にしている人がいます。

豆腐をつくるには、凝固剤として「にがり」を使用します。これは伝統的には海水から作り、ミネラルが含まれるのですが、安いお豆腐ではミネラルの含まれない、工業的に作ったにがりが使われています。

国産大豆かどうかは、遺伝子組み換え食品の観点で気にされています。大豆は遺伝子組み換えが盛んなアメリカの生産量が多いので、特に遺伝子組み換えが気にされていて、生協系の商品では(遺伝子組み換えなし)と併記されていることが多いです。

さて、トップバリュグリーンアイのお豆腐はどんなものなのでしょうか?

オーガニックミニ豆腐」という商品がグリーンアイオーガニックのブランドで売られています。

しかし、原材料を見てみると、こだわっているのは「有機栽培(遺伝子組み換えではない)」のみのようです。消泡剤については、原材料としての表示義務はもともとありません。「消泡剤不使用」と明記していないので、使用していると判定しています。

有機大豆(中国)、豆腐用凝固剤[塩化マグネシウム(にがり)]

一方、生協(生活クラブ)のお豆腐を見てみると、遺伝子組み換えでない国産大豆、天然にがり、消泡剤不使用、充填豆腐でないの4点すべてを満たしています。おいしっくすのお豆腐は、充填豆腐ではありますが、ほかの3点は満たしています。

消泡剤とは、お豆腐を作る際に出る泡を消すものです。大きな有害性が指摘されているものではありませんが、余計なものは使わないという観点から、入れない豆腐の方が好まれます。また、充填豆腐とは、パックの中に材料と凝固剤を一緒に入れて固めるものです。パックの中に隙間がないことが特徴で、固めた後に水でさらしていないのでアクが残るといわれています。

グリーンアイオーガニックのブランドのコンセプトが有機栽培なので、有機栽培の部分がクリアされていれば問題はないですが、生協などで売られている高めのお豆腐では通常こだわっている部分のこだわりがあまりないとも言えます。

しかし、ゴリゴリに添加物を使用しているトップバリュの通常製品と比較するとはるかにシンプルな原材料ではありますので、トップバリュでなにか買うならグリーンアイラベルがいいというのは間違いないでしょう。

ちなみに、トップバリュの「北海道産ゆきほまれ大豆100% 絹豆腐」の原材料はこちらです。

大豆(北海道産)、凝固剤(塩化マグネシウム)、グリセリン脂肪酸エステル、炭酸カルシウム、レシチン(大豆由来)、炭酸マグネシウム、シリコーン樹脂

微妙にコストカットをしている

いくつか商品を見てきましたが、やはり、「無塩せきウインナーだけどアメリカ産豚肉」「有機栽培大豆だけど中国産」というような、微妙なコストカットが目立ちました。

アメリカ産・中国産が悪いというわけではなく、それでおいしいならいいのだと思いますが、実際食べてみると、やはり生協の製品の方がおいしいと感じてしまいます。

生協の製品だと、単にウインナーは「無塩せき」なだけではなくて、豚の飼育法にも当たり前のようにこだわっていたりして、消費者受けをよくするために表示だけよくできるようにしている感じはないのですが、トップバリュは、アピールされている部分以外はどうなっているんだろうという不安が出てきてしまいます。

自然派食品は、農産物の栽培法や動物の飼育法などを変える必要がある場合が多く、どうしてもコストは高くなりがちです。それを、比較的リーズナブルな価格で提供しているわけなので、「すべてにこだわる」ことはできないというのは理解できます。

生活のどの部分にコストをかけるかという話になってきますが、トップバリュのグリーンアイやfree fromの製品を買うよりは、もう少し高くなったとしても、生協の製品を買った方が満足感は出るのではないかというのが個人的な感想です。

しかし、我が家もトップバリュ製品は結構買っています。というのも、夫はわざわざ遠くの生協まで行って買わないのですが、筆者が「無塩せきウインナーじゃないと嫌だ」などと日ごろから言っているので、トップバリュ製品を選んで買ってくるのです。

近場にあってすぐ買えるのは大きなメリットですので、ケースバイケースで利用しています。