「無添加」として販売されている豆腐もあるのですが、豆腐を固めるのに必須の「にがり」がそもそも添加物なので、法律的な意味で無添加の豆腐というのはないはずです。
Amazonや楽天で「無添加 豆腐」と検索すると、「消泡剤無添加」と書いてある普通のお豆腐もありますが、結構上の方に「無添加 ごま豆腐」が表示されてしまうのはそういう事情です。ごま豆腐は、ごまをくず粉で固めたものなので、法律的な意味でも無添加で作ることができます。
なので、一般的な意味での「無添加豆腐」というのは、消泡剤不使用、かつにがり以外のそのほかの添加物も使っていないものということになります。
消泡剤不使用以外にも高いお豆腐には共通する自然派的要素がありますので、この記事では高いお豆腐と安いお豆腐の違いについて紹介します。
無添加豆腐の値段は何で決まる?
一般的にお豆腐の値段は、4点が満たされるほど高くなる傾向があります。
・国産大豆・遺伝子組み換えなしか(有機栽培だとなおよし)
・天然にがりか
・消泡剤不使用か
・充填豆腐か
国産大豆・遺伝子組み換えなしか
一番気にされるのが、国産大豆かどうかです。また、国産・外国産ともに、有機栽培だと高くなります。
国産大豆かどうかは、農薬もありますが、大豆に関しては特に遺伝子組み換え食品の観点で気にされています。大豆は遺伝子組み換えが盛んなアメリカの生産量が多いので、特に遺伝子組み換えが気にされているのです。輸入大豆の場合でも、「遺伝子組み換えなし」と併記されていることもあります。
天然にがりか
天然にがりかも差別化ポイントになります。
豆腐をつくるには、凝固剤として「にがり」を使用します。これは伝統的には海水から作り、ミネラルが含まれるのですが、安いお豆腐ではミネラルの含まれない、工業的に作ったにがりが使われています。
安いお豆腐では、凝固剤として「塩化マグネシウム」と記載されていることが多いです。これが工業的に作ったにがりです。
一方、「粗製海水塩化マグネシウム」などと書いてあると天然にがりです。
単に凝固剤としか書いていないものもありますが、天然にがりを使っている場合はアピールするはずなのでおそらく塩化マグネシウムの方です。
消泡剤不使用・充填豆腐
消泡剤とは、お豆腐を作る際に出る泡を消すものです。余計なものは使わないという観点から、入れない豆腐の方が好まれます。
消泡剤は、原材料としての表示義務はもともとありません。「消泡剤不使用」と明記していないものは、使用している可能性が残りますので、使っていない場合はパッケージに書いてあることが多いです。
豆腐を工程で、泡があまり出ないように調整する必要があるので、消泡剤を使っていないと少し追加のコストがかかってしまうようです。
また、充填豆腐とは、パックの中に材料と凝固剤を一緒に入れて固めるものです。パックの中に隙間がないことが特徴で、固めた後に水でさらしていないのでアクが残るといわれています。こちらは使っている原料には影響しないので、安全性の問題ではなくて味の問題になりますね。
お高い無添加豆腐・神泉豆腐を買ってみた
先日、食材宅配サービスの「大地を守る会」のお試しセットを注文してみました。その中に、300gで387円というお高い無添加豆腐・神泉豆腐がありました。
ちなみに、スーパーイオンのプライベートブランド、トップバリュベストプライスの一番お安い豆腐は100グラムあたり21円なので、この神泉豆腐はかなりお高いですね。
大地を守る会は、有名な宅配食材サービスのオイシックスの会社が別ブランドでやっているサービスで、オイシックスより少し値段帯が高いものです。お試しセット購入後にかかってきた営業電話によると、「高い分品質に自信がある」そうです。
「水と大豆にこだわり職人技で作った豆腐」というのがアピールポイントで、このような特徴があるそうです。
秩父山系の湧水「神泉の名水」、国産契約栽培の大豆、にがりだけで作ったソフトな木綿豆腐です。温かい豆乳ににがりを加える「温豆乳一発寄せ」を採用。豆乳の熱変化を最小限に抑えられるため、大豆のうまみを逃がしません。一口食べれば、大豆のこくと風味が広がります。
スーパーの豆腐の6倍以上
お豆腐には安いというイメージがありますが、大地を守る会のお豆腐は全然安くないですね。
お豆腐100グラムあたりのお値段と原材料を、スーパーの高めのお豆腐と安めのお豆腐、自然派志向の強い生協(生活クラブ)と比較してみます。
メーカー | 100グラムあたりの値段 | 原材料 |
大地を守る会 | 129円 | ①大豆 ②粗製海水塩化マグネシウム[にがり] |
スーパー(高め) | 33円 | ①大豆(国産)(遺伝子組換えでない) ②凝固剤 ③消泡剤(グリセリン脂肪酸エステル) |
スーパー(トップバリュベストプライス) | 21円 | ①大豆 ②凝固剤[塩化マグネシウム(にがり)] ③消泡剤(グリセリン脂肪酸エステル、炭酸カルシウム、レシチン:大豆由来、炭酸マグネシウム、シリコーン樹脂) |
生活クラブ | 75円 | ①大豆(国産)(遺伝子組換えの混入を防ぐため分別) ②凝固剤(粗製海水塩化マグネシウム<にがり>) |
高めのお豆腐は、近所のスーパーの店頭で選んだ大豆が国産のもの、安めのお豆腐は、激安で有名なイオンのプライベートブランド「トップバリュ」の中でも特に安い「トップバリュベストプライス」のものです。
トップバリュベストプライスのお豆腐と比較すると、大地を守る会の「神泉豆腐」は6倍以上ですね。生活クラブのお豆腐と比べても1.5倍以上はします。
お豆腐は、大豆とにがりの2つの原材料があれば作れます。そのため、この2つ以外の原料が入っている場合は余計な添加物を入れているということになります。
激安の「トップバリュベストプライス」にはシリコーン樹脂も入っていて怖いですね、、、。
高い理由は「神泉」だから?
先ほど紹介したように、お豆腐は「国産大豆」「天然にがり」「消泡剤不使用」「充填豆腐ではない」の4点を満たすとお値段が高くなる傾向にあります。
ただし、この4点を同時に満たした生活クラブのお豆腐が100グラム75円なので、大地を守る会の神泉豆腐が高いのは、これ以外の理由になります。
神泉豆腐の場合、商品名称にもなっている、秩父山系の湧水「神泉の名水」を使用していることがお高い原因ではないかと思われます。
大地を守る会のアピール文によると、このような理由で水にこだわっており、製造拠点をわざわざ「神泉の名水」が利用できる埼玉県児玉郡神川町に移転したそうです。
実は約90%が水分の豆腐は、「おいしさは水で決まる」とも言われます。本品は、美しい自然に囲まれた秩父山系の湧水「神泉の名水」を使用。大豆を洗ったり、煮たり、豆腐のパック詰めなどあらゆる製造工程に使うことで、甘みがありながらも、すっきりとした豆腐ができ上がります。
食べ比べた結果
300gで387円(100グラムあたり129円)という価格に見合うお味なのか、食べ比べをしてみました。
対戦相手は、スーパーで買った相模屋食料株式会社の「国産大豆木綿」です。スーパーのお豆腐の中では高めでしたが、100グラムあたり33円です。
泡感はある
左が大地を守る会の神泉豆腐、右がスーパーの豆腐です。神泉豆腐の方は消泡剤を使っていないので、泡感が出てしまっていますよね。
ただ、泡感があるからといって特に舌触りが悪いわけではないです。ではなぜ消泡剤を使っているのか?という点を疑問に感じますよね。
この神泉豆腐レベルの泡感に抑えるために工夫が必要になるので、その手間を避けるために消泡剤を使っているのではないかと思いました。ンが多いので、こんなにはっきり泡感が出ているとバレやすくなってしまいます。
味は確かに濃い
食べ比べた結果、神泉豆腐の方が味が濃かったです。はっきりわかるほどの違いだったのですが、特にお豆腐にこだわりがない立場からすると、正直なところ「味が濃いからなんなの?」と思ってしまいました。
今回、大地を守る会が、お試しセットの到着日にわざわざ「本日お届け予定の豆腐のはなし」というメールを送ってきたので、そんなにおいしいのか?と思い食べ比べをしてみたという経緯です。
しかし、食べ比べた結果、神泉豆腐の味が濃いのはわかるのですが、100グラム33円のスーパーのお豆腐でも味的には不満はなかったです。
味的にはスーパーのお豆腐でもいいですし、国産大豆がいい+余計な添加物を避けたい+ミネラルもとりたいという目的なら、もっと安い生活クラブ(生協)のお豆腐で十分だなと感じました。
大地を守る会の公式サイトに掲載されている感想を見てみると、もともと豆腐にこだわりのある方がいい口コミをしているようです。
これを超える豆腐にまだ出会っていません。大豆の味がしっかり感じてご馳走豆腐です。
味が濃いのは、豆腐にこだわりのないい一般人でもわかります。
オススメで初めて召し上がって、こんな美味しいお豆腐に感動です。何も付けずにシンプルにそのまま。ありがとう�御座い‼�。ファンになりました☺�。
お豆腐ファンにはいいお豆腐なのかもしれません。
消泡剤無添加豆腐はスーパーにも売っている
すごく高いお豆腐はぜいたく品の域に入りますし、こだわりを持っているのでなければ食べた感じの満足感もそれほど差はないです。
無添加豆腐を食べたい方は、単に消泡剤不使用のもので十分ではないかと思います。
消泡剤不使用の条件だけあればいいのであれば、スーパーでも比較的安く売っています。
国産大豆で、天然にがりで、消泡剤不使用で、、、となると、生協やお高めの宅配サービスでないと購入しづらいかもしれません。