自然食

高級豚肉は何が違う? 品種・飼料・飼育環境が値段に影響

大地を守る会・うまみこい豚

先日、食材宅配サービス「大地を守る会」のお試しセットを注文してみました。

大地を守る会は、有名な宅配食材サービスのオイシックスの会社が別ブランドでやっているサービスで、オイシックスより少し値段帯が高いものです。

お試しセットに入っている商品が正規価格ではいくらかを調べてみたのですが、バラ肉だと100グラムあたり457円、モモ肉だと335円です。スーパーで売っているバラ肉の平均価格が265円だそうなので、モモ肉だと2倍近くしますね。

どうしてこれほど価格が違うのでしょうか? この記事では、高い豚肉と安い豚肉の違いや、お高い豚肉を食べ比べた感想を紹介します。

ちなみに、大地を守る会はお豆腐もお高かったので、こちらも食べ比べしています。

高い豚肉と安い豚肉の違い

豚肉の価格には、「品種」「飼料」「飼育環境」などが影響しています。

品種

豚の品種としては、「三元豚」をよく聞きますよね。ブランド品種名のように使われているので誤解していましたが、これは単に3種類の品種をかけあわせたという意味なのだそうです。さまざまな品種をかけあわせることで、それぞれの長所を生かす目的です。

高い品種としては「黒豚」が有名ですが、その理由は、飼育コストだそうです。

一般的な豚と比較して、産む子供の数が少なくて発育が遅いため飼育コストがかかるけれども、うまみが強いというメリットがあるため、高級品種になっています。

あまり耳にすることはないですが、贈答品にも使われる豚製品メーカーの平田牧場では、高価格帯の商品には「金華豚」という品種を使っています。

金華豚は、中国浙江省金華地区原産で世界三大ハムの一つに数えられる高級中華食材の金華ハムの原料豚として知られているものだそうです。


飼料

飼料も豚の価格に大きく影響します。

飼料はやはりアメリカ産でよく生産されるトウモロコシなどが主流なので、遺伝子組み換えではないかがポイントです。また、肉骨粉など問題となる飼料を与えていないか、収穫後にかける農薬(ポストハーベスト)を使っていないか、抗生物質を使用していないかも、こだわっているところは気にしています。

さきほどの平田牧場では、遺伝子組み換えなし・ポストハーベスト不使用の指定配合飼料や飼料米を使ったこだわりの飼料を使っているそうです。

飼育環境

卵を産む鶏には、自由に動き回れる「平飼い」というタイプの飼育方法があります。スーパーでも売っていることがあるので、この飼育方法は比較的知名度があります。

平飼いでないケージ飼いの飼育方法では、鶏が動き回れないので動物福祉に反するとして批判されています。

豚の飼育方法についてはあまり知られていないですが、鶏と同じように、自由に動き回れる方が動物福祉の観点からいいという流れがヨーロッパを中心にあるようです。

平田牧場公式サイトによると、一般的な豚舎との飼育環境の違いはこのようになっているそうです。


飼育環境
平田牧場全面開放型豚舎
一頭あたり面積約1㎡
一般的な豚舎密閉型(窓無し)豚舎
一頭あたり面積約0.75㎡

この程度でしたら、「少し狭いか広いか」の違いになりますが、もっとがっつりコストをかけると、「放牧」タイプになります。

放牧タイプはほとんど販売されていないため通販で買うことになりますが、ファーマーズファクトリーというブランドのものは1.07キロ分のソーセージが6,480円なので、100グラムあたり600円程度になりますね。

動物福祉の観点もありますし、健康に育った豚はやはりおいしいらしく、高めのお肉の牧場では飼育環境にコストをかけていることが多いです。

高い豚肉とスーパーの豚肉を食べ比べ

今回は、「大地を守る会」という高めの宅配食材サービスで売っている高めの豚肉をスーパーの豚肉と食べ比べしてみました。

お試しセットで届くうまみこい豚は、今商品として売っていない切り落としタイプだったので単品でのお値段が不明です。バラ肉だと100グラムあたり457円、モモ肉だと335円なので、このあたりに価格帯に入るはずです。

食べ比べに使ったスーパーの豚肉は、100グラム267円で売っていたバラ・モモ肉です。

大地うまみこい豚とは?

大地を守る会では売られているお肉は、仙台黒豚会が生産している「大地うまみこい豚」というものです。

このうまみこい豚には、以下のような特徴があります。

・味と価格を両立する黒豚血統を受け継ぐ豚

・安心でおいしい肉質に仕上げるこだわりのオリジナル飼料

・じっくり、健康に育てたうまみの濃さ

うまみこい豚は黒豚と一般的な豚の血を50%ずつ引いた品種だそうです。

先ほど紹介した通り、黒豚は飼育コストがかかりますので、その黒豚と半々の品種にすることで、飼育コストを抑えてうまみを強くしているということらしいです。

また、飼料は、「遺伝子組み換え作物の混入を防ぐため分別生産流通管理済みのトウモロコシを中心に、大豆かすや麦などを独自に配合したもの」を使っているそうです。ほかにもこだわりがあるのかもしれませんが、このこだわりだけだと平田牧場よりはこだわり薄めなのかなという印象です。

飼育方法にもこだわっているそうで、のびのび動ける豚舎で健康に飼育しているそうです。

大地を守る会・うまみこい豚の豚舎の広さは公開されていないようですが、画像を見るとかなり広いように見えます。

大地を守る会・うまみこい豚

出典)大地を守る会

食べ比べ結果は?

さて、それでは食べ比べた結果を紹介します。上が大地を守る会・うまみこい豚、下がスーパーのお肉です。

大地を守る会・うまみこい豚

スーパーのお肉はももばら肉です。一方大地を守る会・うまみこい豚は部位不明です。しかし、脂身が少ないので、モモのような感じはしますね。

多分肉の種類が違うのですが、大地を守る会・うまみこい豚のモモ肉の方が高いので、ここは大地を守る会・うまみこい豚の方がおいしいという結果が出てほしいところです。

同じ味付けで生姜焼きを作り、何も知らない我が家の夫に先入観なく食べてもらい、どちらが高いか考えてもらうことにしました。

大地を守る会・うまみこい豚

すると、「どちらも劇的においしいわけではない。高そうな感じは全然しない」とコメントした上で、「個人的な好みで言うなら脂身の多い方がおいしい」との感想でした。

私も正直スーパーのお肉の方が味は好みでした。

口コミのテンションも低め

大地を守る会のサイトで口コミを見てみましたが、「すごくおいしい!もうここの豚肉じゃないと食べられない!」みたいなテンションではないようです。

比較的安いモモ肉でもかなり高いので、ここの豚じゃなくてもいいかなぁという感じがします。

我が家の夫による値段が高い方当てクイズでもはっきり味の違いがわかったお豆腐の方は、もっとテンションの高いレビューが多かったので、大地を守る会ユーザーから見てもそこまででもないのかもしれません。

宅配食材サービスの豚肉比較

豚肉の取り扱いがある自然派の宅配食材サービスでは、比較的高めの豚肉が販売されています。3社(オイシックス、大地を守る会、らでぃっしゅぼーや)の品種や100グラムあたりの値段(モモスライス)を比較してみました。

宅配食材サービス品種価格(100g)
オイシックスみつもち豚
館ヶ森高原豚
335円
396円
大地を守る会うまみこい豚300円
らでぃっしゅぼーや丹沢高原豚443円

全国のスーパーで売られている豚肉100g値段の平均は268円だそうなので、平均よりもかなりお高いですね。

それぞれ以下のようなこだわりがあるそうです。

宅配食材サービス・品種こだわり
オイシックス・みつもち豚・千葉県の自然に囲まれた農場で、ストレスが少なくなるよう頭数を制限して飼育
・餌にもこだわる
オイシックス・館ヶ森高原豚・独自の改良を重ねた「バブコック・スワイン種」
・とうもろこしを使用せず、マイロや麦類などを与えている
・遺伝子組み換え原料の混入を防ぐために分別生産流通管理を実施
・タイムやローズマリーなどのハーブを配合
・天然塩や水ででミネラルも多く与えている
大地を守る会・うまみこい豚・黒豚血統
・遺伝子組み換え作物の混入を防ぐため分別生産流通管理済みのトウモロコシを中心に、大豆かすや麦などを独自に配合した飼料
・のびのび動ける豚舎
らでぃっしゅぼーや・丹沢高原豚・飼料に非遺伝子組換えのトウモロコシと大豆粕を使用。
・広い養豚場

ウィンナーやベーコンなどの加工品はAmazonや楽天などの通販サイトでも販売されていまが、精肉の状態のものは買いにくいので、少しお高めの豚肉を試してみたい方は、宅配食材サービスが使いやすいかもしれません。

豚肉は違いが出にくいのかも

ウインナーなどの加工品は、高いものと安いもので味の違いがはっきりわかるのですが、生肉を調理した場合は違いが出にくいのかもしれません。

実際私も、普段は生協(生活クラブ)で、豚肉の牧場として有名な平田牧場のお肉を食べていますが、たまに近くのスーパーで買ったお肉を食べてもそんなに違いは感じません。


牛肉は、安い輸入肉を買うと明らかにまずいと感じたりしますが、豚肉だとあまり感じたことはないです。値段の違いを感じやすい度は、牛肉→鶏肉→豚肉の純です。

今回は比較のメニューを生姜焼きにしてしまったため、うまみこい豚の特徴をうまく引き出せなかったこともあるかもしれません。生姜焼きの味付きは味付けが濃いですからね、、、。

というのも、生肉の段階でにおいをかいでみたところ、スーパーのお肉にはくさいにおいがしたのです。

くさっていないのに豚肉がくさい場合の対策として、生姜焼きにすることが推奨されているようなので、それでくささは感じなくなってしまったのかもしれません。

うまみこい豚はくさみがないので、確かにシンプルに食べてもおいしそうに見えます。

豚肉に関しては、スーパーの豚肉とそこまで味の違いは感じないという結論になってしまったのですが、今度別の薄味メニューでも食べ比べをしてみます。