スーパーで並んでいる卵も、値段にはかなり幅がありますよね。今の時期は鳥インフル冤罪の関係でかなり高くなっていますが、安い時期なら10個100円を切ることもあります。一方、10個で300円ほどの高い卵も売られています。
自然食品にかなりこだわる家で生まれた筆者は、スーパーの卵と比べて生協の卵が高い理由を母親に尋ねてみたことがあったのですが、「普通の卵は鶏をケージに閉じ込めて動けなくして、不自然な飼育方法で安く量産している。そうではない卵はパッケージに平飼いと書いてある」とレクチャーされました。
いい飼料を使っているともちろん卵の値段も高くなるのですが、それに加えて飼育方法の影響が大きいようです。飼育方法にこだわる業者は当然飼料にもこだわるので、さらに値段が高くなってしまいます。
今回は、卵を産む鶏の3種類の飼育方法について紹介します。
卵用鶏の飼育方法
飼育方法による卵の種類には、「平飼いかそうでないか」「有精卵か無精卵か」の区別があります。この組み合わせで決まりますが、多いのは「平飼い卵」「平飼い有精卵」、「どれでもない卵」の3種類です。
平飼い卵
普通の鶏は、このような感じでケージに入れられて飼育されるそうです。そのため自由に移動ができません。
この状態が不健康だということで、鶏が自由に動ける状態で飼育しているのが、「平飼い」です。ただ、「平飼い」と表示している卵の鶏舎をいくつか見てみると、ギチギチに見える場所が多く、「自由にのびのび感」はあまり画像からは感じられません。
出典)グリーンコープ
不健康だと何が悪いかというと、3つほど理由があります。不健康な動物が生み出したものを食べると人間の健康にも影響があるという考え方、動物福祉、味がおいしくなくなるというものです。
味については正直あまり違いは感じません。ウインナーは生協で売っている無塩せき商品の方が明らかにおいしいと感じますが、卵はスーパーのものと高い卵でそこまで違いはないように感じます。
先ほど書いたように、「平飼い」といってもいろいろあり、ギチギチなところもあります。一方、平飼いの最上級版が、「屋外放し飼い」です。
このように鶏が外を歩き回れる環境を確保している小林農園は、25個1650円、つまり10個あたりだと660円の高級卵を販売しています。高いですね、、、。
出典)小林農園
有精卵
有精卵と無精卵の違いは、オスとメスが交尾して生まれた卵かどうかです。交尾して生まれたものが「有精卵」と呼ばれ、あたためると雛がかえります。
鶏はメスだけでおいておいても毎日卵を産みますが、そのような卵はあたためても雛がかえらず、「無精卵」と呼ばれます。
有精卵といっても、確実に雛が産まれる卵であるとは限らず、「有精卵が産まれる可能性のある環境」で飼育していれば有精卵と表示してOKというルールだそうです。つまり、ケージに閉じ込めるのではなくて平飼い、さらに、その中にメスだけではなくオスも混ぜるという環境です。
有精卵であれば必然的に平飼いになりますので、「平飼い有精卵」という表記が多くなります。
筆者自身はあまり味の違いは感じないものの、「平飼い」の方が味はいいといわれると、そうなのかもしれないとは納得できます。肉に関しては、しっかり運動してストレスが少ない環境で育った肉の方がおいしいですから、卵も同じような影響があるのかもしれません。
しかし、有精卵に関しては、いまいち存在意義がわかっていません。有精卵だろうと無精卵だろうと、味や栄養面に違いはないとされているらしいです。
鶏業者のサイトでも、違いはないと書かれているのでますますわからないのですが、あえて理由をつけるのであれば、なるべく自然な環境の方が鶏がストレスない、ということのようです。
この点から考えると、追加のコストのかかる「平飼い有精卵」である必要はなく「平飼い卵」で十分という話になりますが、平飼い系の卵であれば、「平飼い有精卵」の方が種類が多いので、選択肢はあまりありません。
どちらかというと、「有精卵」かどうかよりも、どこまで本気の平飼いをしているか、つまり、鶏舎内だけで飼育しているか、外でも放し飼いをしているかなどの違いが価格に大きく影響しているようです。
どれでもない卵
平飼い・有精卵はどちらも品質のアピールになりますので、飼育方法に取り入れてあるのであれば表記されているはずです。そのため、何も書いていない卵は、「ケージ飼いの無精卵」ということになります。
動物福祉の考え方が進んでいる欧米では、ケージ飼いが規制され始めているようです。動物福祉の観点でケージ飼いを嫌う人もいますし、ケージ飼いの鶏は抗生物質を打たれているから嫌と考える人もいます。
ケージ飼い=抗生物質ではないのですが、平飼い卵の生産者は自然派志向の人たち向けに商売をしているので、抗生物質もなるべく減らそうとしている業者が多いです。
色は関係ない
色が濃い方が栄養価が高いようなイメージがありますが、これは単純に飼料の色が影響しているだけで、栄養価には関係がないようです。
餌としてよく使われるのはトウモロコシですが、代わりにコメを使った場合は色が薄くなり、逆にパプリカなどを餌に混ぜると色が濃くなるそうです。
日本では色が濃いものが好まれるため、色が付きやすい飼料を与えている業者が多いそうで、スーパーの卵は鮮やかなオレンジ色のこともありますよね。
自然由来の安全な着色料であれば安全なのかもしれませんが、原材料と違って飼料は何が使われているか知る方法がないので、念のために用心するのであれば、薄い卵の方が安全ということになりますね。
日常的に買える価格が大事
放し飼いの高級卵はさすがに高すぎます(笑)
また、ブランド農園で買うと、送料の関係なのか、最小購入量が20個以上だったりします。
そのため、平飼い卵を食べたい場合は生協に加入するのがコスト的にはお安くなります。
おいしっくすでも平飼い卵は売っているのですが、卵の価格は生協よりもお高めです。ただ、おいしっくす利用者は「牛乳とか飲み放題」という、牛乳や卵(6個入り)などが週に3品無料でもらえて月額1628円(税込)のサービスを利用していることが多く、実質的にはもっと安く買えます。(300円の製品を月に12個もらった場合、3600円相当)
牛乳や卵がやけに高いので、「牛乳とか飲み放題」の対象商品はベースの値段を高くしているのかも、、、という疑惑があるのですが、おいしっくすで卵を買う場合は牛乳とか飲み放題を利用するのがおすすめです。